Secret love.
「優花、言い過ぎ。」

「何。及川くんはあの人の味方?」

「違う。優花は、新田さんの友達かもしれないけど、首を突っ込む必要はないって言ってる。」

「じゃあ黙ってたらよかった?」

「棘のある言葉の使い方をするな。新田さんの為になるとは思えないし、加藤がもし怒って優花に手を出す事も無いとは言い切れないだろ。自分の身をまずは心配しろって話をしてんの。」


この時の私は及川くんの言葉に全く理解出来なかった。実季の為にそもそも言い返したわけじゃない。私が言ってやらなきゃ気が済まなかったから。

加藤くんがそもそも黙っといてくれたら私も何も言うつもりはなかった。だけど、浮気しておいて心配しているみたいな言い方に腹が立った。

及川くんは私の表情を見て理解していないと伝わったのか、私の肩を軽く掴んで屈んで視線を合わせる。


「俺は、優花に危険な目にあってほしくないだけ。会社だからって人の感情で暴走されたら何があるか分からないし…。友達想いな所は好きだよ。でも、必要以上に相手を攻撃する必要はない。」

「…離して。誰かに見られたら困る。」

「じゃあちゃんと理解して。」


子供に言い聞かせる様な言い方をしてくる及川くんに、首を縦に振ると少し笑って「いいこ」と言って頭を撫でてきた。


「…子供扱いしてるでしょ。」

「不貞腐れてる優花が可愛くてつい。」

「むかつく。精算だろうけど別の人に頼んで。」

「はあ?公私混同すんなよ。」

「私はそう言う人間です。」

「昔、テレビでそう言う人居なかった?なんだっけ…、ビッグ…。」

「もういいから!本当うざい!」


こういうノリでいつも雰囲気を戻されてしまうのも、少しムカつくのに突き放せないから困る。
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