Secret love.
「そもそも実季はもうあんたに気遣ってほしいとか思ってないから。あの女と勝手に幸せになりなよ。」

「何で周りはみんなあみの事をそんな言い方するんだよ。」

「周りの男に思わせぶりな態度を取っておいて、彼女持ちの男にも手を出すような女だからじゃないの。てか、気付いてないの?あんたと付き合う前からも散々色々な男の人に近寄ってたの。」

「それは、周りの女性社員が彼女に優しくしないから。」

「そうやってあんたみたいなちょろいバカが騙されるんでしょうね。」


私の言い方に完全にイラっとした表情をしている加藤くん。こんなの実季が受けた痛みにしたら何の仕返しにもならない。実季は時間の無駄だと無視しているのかもしれないけれど、私は許せなかった。

何かこちらに言い返そうとしていたのを見て「何揉めてんの。」と声を掛けられた。その方向に向くと及川くんで、軽く首を傾げている。

及川くんの登場でバツの悪そうな表情を見せた加藤くんはオフィスに戻っていく。私も及川くんに何も言えず、その場で及川くんからは顔を逸らして窓の外に目を向けていた。
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