Excessive love.
「お願いだから引き止めないでくれる?隆太と居ると惨めな気持ちで死にたくなるから。あんな誰かを蹴落とす様なバカな女に負けたって」

「あみは、そんな事する子じゃない」

「恋して盲目だから気付かないんでしょうね。ま、何でも良いけど」


 スマートフォンで時刻を確認すると、ちょうど朝倉さんと約束していた時間だった。私は迷うことなく、まとめた荷物を手に取って玄関へと向かった。

 かなりの量の私物を捨てたけれど、何より一番大きな粗大ゴミをここに捨てていけると思うと、少しだけ胸が軽くなった。

 繋がっている間はあんなに重苦しかったのに、いざ断ち切ってしまえば、彼なんてただの何でもない他人に過ぎない。


「それじゃあ、お元気で」


 振り返ることなく、私はその部屋を後にした。

 エレベーターで一階に降りると、朝倉さんがエントランスのすぐ前に車を着けて待ってくれていた。私の姿を見つけるなり、彼はすぐに運転席から降りて駆け寄ってくると、重い荷物をひょいと持ってくれた。


「お疲れ様。大丈夫だった? 部屋まで行こうかと思ったんだけど、そういえば部屋番号聞いてなかったと思って」

「大丈夫です。全然何も無かったので」

「それならよかった。乗って」


 朝倉さんは自然な動作で助手席のドアを開けてくれた。


「お邪魔します」


 そのままシートに腰を下ろす。

 車に乗る時に、こんなふうにエスコートしてもらったことなんて一度もない。隆太はいつも先に自分が乗り込んで、スマホをいじりながら私が荷物を積み込み乗るのを待っているだけだった。

 大切に扱われている様な行動に、心が少しだけくすぐったくなるのを感じていた。
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