Excessive love.
 カフェに入ると、隆太はすでに席に着いていた。迷わず向かいの席に腰を下ろすと、彼は気まずそうだけれど、どこか期待しているような表情にも見えた。

 私が来てその顔をする時点で、姫野さんとはうまくいっていないんだろうなと言う事は容易に想像できた。及川くんの言っていたとおりかもしれない。


「驚いた。まさか実季から連絡貰えるなんて」

「問題が無かったら連絡なんかしなかった。優花に何で余計な事聞いたのよ」

「余計な事って…、俺はただ行く宛も無いのに出て行った実季がどうしてるのか気になって…」

「隆太には関係無いよね? 今まで気にすらしてなかったくせに」


 問い詰めると、彼はぐうの音も出ないといった様子で黙り込んだ。

 私の安否を心配しているふりをして、結局は自分の罪悪感を軽くしたいだけ。その身勝手さが今の私には透けて見える。何より、そのせいで優花が嫌な思いをしたことが許せなかった。


「姫野さんと付き合えて幸せなんじゃないの? どこに私の事を気にする余裕があるわけ?」

「あみとは…、付き合ってない。実季の目が怖いから付き合うのは待ってって言われた」

「はあ? 何それ」

「こんな形で付き合ったら責められるって…」

「責めるわけないでしょ。浮気した時点で二人を責めてないんだから」


 呆れて物も言えない。そんな見え透いた嘘に騙されている隆太も、情けなくて見ていられない。

 及川くんの予想は当たっていた。それどころか、姫野さんは最初から隆太と真剣に付き合うつもりなんてなかった。

 彼女の目的は、私から彼氏を奪うという行為そのものだった。

 だけど、その理由は分からない。彼女が入社したとき、教育係として面倒を見たのは私だ。恨みを買うようなことをした記憶も、彼女を蔑ろにした覚えも一切ない。
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