Excessive love.
 オフィスに戻ってくると、既に及川くんが前の席に着いていて「おはよう」と挨拶を交わす。

 その後に戻って来た姫野さんを見て、及川くんから「二人で話してたの?」と問い掛けられ、私は首を縦に振った。


「朝から修羅場?」

「修羅場ではないけど、面倒だった事は確かね」

「毎度思うんだけどさ、前から何でそんなに姫野さんに突っかかられんの?教育係みたいなこともしてなかったっけ?」

「私が聞きたいけど、そんなの」


 恨まれるようなことをした記憶はない。むしろ、同性の社員たちが彼女を煙たがる中で、私は分け隔てなく平等に接していた方だと思う。

 教育係として多少口うるさく指導した場面もあったけれど、それが恨みの原因だとしたらどうしようもない。そもそも、ここまで執着して絡まれるほどの大事をした覚えもない。


「正直思うけど、姫野さん絶対加藤好きじゃないじゃん。良くてもキープでしょ」

「何で?」

「好きだったら周りの男にもあんな態度にならないって」


 及川くんの視線の先では、姫野さんがコピー機のそばで男性社員と談笑し、軽くボディータッチまでしていた。あんな光景はもはや日常なので気に留めていなかったけれど、確かに好きな人がいるなら、普通は勘違いされないように他の男性とは距離を置くものだろう。

 及川くんの言葉には、納得しかなかった。


「朝倉さんに守ってもらえばいいじゃん。絡まれるんですけど~~~~って」

「そんなどこぞのウサギのキャラクターみたいな話し方して…」

「川﨑さんがはまりすぎてて最近洗脳されてるかも。その話しかしてこない」

「平和で良いじゃない」


 私も好きなキャラクターとかの事だけ出来たら話してたいわよなんて思いつつ、溜息を吐く。朝からこんなはじまり望んでない。
< 70 / 142 >

この作品をシェア

pagetop