Excessive love.
「…嫌?」


そう問い掛けてくる直樹さんに慌てて首を横に振る。

このままだと誤解を与えてしまうと思い、覚悟を決め自分の手を出すと「失礼します。」と声を掛けて、直樹さんの手を繋ぐ。

自分が手を繋ぐだけでこんなに照れる事が出来るなんて思っていなかった。

好きな人と手を繋ぐ行為がどれほど嬉しい事で、こんなに胸がときめくことなのか、直樹さんが思い出させてくれた。


「行こうか。」

「はい。」


直樹さんが微笑んでそのまま手を引いてくれて、私もそのリードに従う。今もずっと顔が赤くて直樹さんの方を見られない。


「手小さいな。」

「え…、そうですか?普通くらいだと思いますけど…。」

「俺の手がでかいのかな。それにしても可愛い手してる。」


ここ数日で可愛いと言われ過ぎてしまっている気がする。可愛いなんて言われる様な人間では無いのに、こんな私を直樹さんだけは可愛いと言ってくれる。

今まで綺麗だとかそう言う言葉を貰う事が多くて、それも凄く嬉しかったし、可愛いよりは綺麗と言われる事を目指してきたから嬉しかったのだけど、可愛いと言う言葉がこんなに照れくさくて嬉しい物だと知らなかった。


「この手で色々出来るんだからすごいな。料理も出来て家事も出来て、仕事も出来て、万能の手。」

「褒め過ぎですよ。直樹さん。」


直樹さんの手は大きくて、簡単に私の手を包み込めてしまう。それでいて凄く温かい。安心感のある手だ。

約束通り駐車場まで手を繋いで向かって、車の中では運転の為に離した。名残惜しくて、もう少し繋いでいたいと思った。
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