Excessive love.
ふと直樹さんの方に目を向けると、また姫野さんに話し掛けられ、別の場所に移動する姿が見えた。最近よくあの姿を見る。

相談があるんですなんて、話掛けているらしいけど、直樹さんは上司だから部下に相談があると話し掛けられたら断れるわけが無いのも分かっている。

だけど何だか少し嫌な胸騒ぎがしていて、そちらから気が逸らせなかった。

本当に交際しているわけでは無いから、もし直樹さんが姫野さんに気が向いたとしても、私には何も言う権利はないけれど、今の関係性は壊されたくない。


「気になる?」

「あ…、うん。まあ、前の事もあるから。」

「そんな気にしなくて良いと思うけどな。朝倉さんのタイプじゃないだろうし。」

「朝倉さんのタイプとか知ってるの?」

「聞いたわけじゃないけど、どう見てもじゃない?」


及川くんはそう言いながら物を鞄に詰めると「外回り行ってくるわ」と言って、そのままオフィスを出て行ってしまった。

私には分からないし、男性がその人をタイプだと思っているとか、思っていないとか、そう言うの。

私を好きだと思って交際していた人が、姫野さんみたいな全くタイプの違う女性に浮気する男性も居るのだから、タイプじゃないとか何も信用は出来ない。
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