天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

十四章*天才魔導師の愛妻

 私が目を覚ますと、そこは見慣れない天蓋だった。

「っ! は! ここは!」

 しかし、どこかはわかる。私が魔塔に作った、シオン様のおこもり部屋のベッドだ。最上級の職人に作らせた、最高のベッドの上である。

 バッと起き上がると、隣にはシオン様が寝転がっていた。

(な、な、何事!? さっきまで自分に都合の良い夢を見ていたはずだけど、これもまだ夢?)

 キョロキョロと辺りを見回し、私は自分の頬をつまみ上げ、思いっきり引っ張っぱろうとして止められた。

「夢ではない」

 シオン様である。
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