永遠の絆*
「千円だけ受け取るよ。とりあえず駅に戻ろ」

「うん。ごめんね」


葵はいつだって私に倍以上のお金を返してくる。

それは私がお金に困っているからって訳じゃなくて、ただ私に迷惑をかけているって事だけに返してくる。


家が厳しいあまり葵は彼氏と居て遅くなる時、私の名前を出しているからだ。

だから私は葵の両親に何度か謝った事がある。

それを申し訳なく思っているのか葵はすぐに“ごめん”と言う言葉を口に出す。


別に私は迷惑してないし、葵の為なら役に立ちたい。

私はそれくらいしか葵にしてあげられる事がないからだ。


だから、そんな適当に住んできた私の家庭を葵は好んでいる。

いつも、いいなって。

そんな羨ましがられるような家庭じゃないのに。


< 56 / 594 >

この作品をシェア

pagetop