夜を繋いで君と行く
電話会女子の部
* * *
同日、夜8時。怜花は自宅の座椅子に座って、テーブルの上にスマートフォンを置いた。ほうじ茶をマグカップにたっぷり淹れて、里依とあの日以来の通話をしている。
『それで、体調は良くなったの?』
「おかげさまで。ちゃんと食べてるし、寝てる。ごめんね、色々。あと、二人で過ごす時間を邪魔しちゃって。」
『それは全然いいけど、…それで、ちゃんと大丈夫…だった?』
「ちゃんと大丈夫…っていうのが、何を指すかわかんないけど、…里依ほどちゃんとは話せなかったかな。でも、…たくさん心配をかけちゃったなってことは、すごくよくわかった。だからごめん。」
『私じゃなくて、それちゃんと、二階堂さんに言ったの!?』
「えっ…と…。」
いつになく里依の押しが強くて、これが直接会うのではなく電話越しで良かったと思う。里依は普段そこまで我が強いわけでもないし、どちらかと言えば恋愛に関しては自信がなさそうにしていることが多いが、その実育ちも良いし、精神面では自立していて、考え方も一貫している。長年友達として付き合っているが、自分のように誰かから逃げたりすることもなければ、こうやって自分を追い詰めて体調を崩したりしているところも見たことがない。つまり、里依はぶれない人なのだ。だからこうやって、しっかりまっすぐに向き合うと改めて、自分の弱さや脆さがはっきりと感じられる。
『言ってない、ってことはないよね?』
「…たくさん、謝った。でも、謝ることは多分、正解じゃなかった、…と、思う。」
『二階堂さんは謝られたいから怜花に会いたかったんじゃなくて、ただ怜花に会いたくて行くって言ってたように、…あの日は聞こえたな、私。』
「そっか。…そうだったね、三澄さんがネタばらししてくれてたんだ、そういえば。」
『うん。会って話さないとちゃんとわからないかなって言ったら、二階堂さんは即答ですぐ行くって。』
「…そっか。」
それ以上は何も言えなくなってしまった。やっぱり律に敵うところなんて何一つなくて、あの日からここまでずっと甘えっぱなしに思える。でも律はあの日もここから挽回するから、と言っていた。挽回は後からでもできる。怜花にだって、挽回はできるのだ。
「…もうちょっと、誰かを大切にするってことを頑張りたいなって、今は思う。あと、その誰かが大事に想ってくれてる自分のことを、…もっと認めるっていうか、…上手く言えないんだけど。」
『そうだよ!もー!本当に怜花は昔っからそういうのが下手っぴ!でも二階堂さんが今はいてくれるから、これからは私と二階堂さんとで協力して頑張るから!』
「え~…里依もそっち側に行ったら、三澄さんもそっち側だし、3対1なんて勝ち目、本当にないじゃん…。」
電話越しにくすくすと笑う声が聞こえる。里依の笑い声に怜花の笑い声も重なった。
同日、夜8時。怜花は自宅の座椅子に座って、テーブルの上にスマートフォンを置いた。ほうじ茶をマグカップにたっぷり淹れて、里依とあの日以来の通話をしている。
『それで、体調は良くなったの?』
「おかげさまで。ちゃんと食べてるし、寝てる。ごめんね、色々。あと、二人で過ごす時間を邪魔しちゃって。」
『それは全然いいけど、…それで、ちゃんと大丈夫…だった?』
「ちゃんと大丈夫…っていうのが、何を指すかわかんないけど、…里依ほどちゃんとは話せなかったかな。でも、…たくさん心配をかけちゃったなってことは、すごくよくわかった。だからごめん。」
『私じゃなくて、それちゃんと、二階堂さんに言ったの!?』
「えっ…と…。」
いつになく里依の押しが強くて、これが直接会うのではなく電話越しで良かったと思う。里依は普段そこまで我が強いわけでもないし、どちらかと言えば恋愛に関しては自信がなさそうにしていることが多いが、その実育ちも良いし、精神面では自立していて、考え方も一貫している。長年友達として付き合っているが、自分のように誰かから逃げたりすることもなければ、こうやって自分を追い詰めて体調を崩したりしているところも見たことがない。つまり、里依はぶれない人なのだ。だからこうやって、しっかりまっすぐに向き合うと改めて、自分の弱さや脆さがはっきりと感じられる。
『言ってない、ってことはないよね?』
「…たくさん、謝った。でも、謝ることは多分、正解じゃなかった、…と、思う。」
『二階堂さんは謝られたいから怜花に会いたかったんじゃなくて、ただ怜花に会いたくて行くって言ってたように、…あの日は聞こえたな、私。』
「そっか。…そうだったね、三澄さんがネタばらししてくれてたんだ、そういえば。」
『うん。会って話さないとちゃんとわからないかなって言ったら、二階堂さんは即答ですぐ行くって。』
「…そっか。」
それ以上は何も言えなくなってしまった。やっぱり律に敵うところなんて何一つなくて、あの日からここまでずっと甘えっぱなしに思える。でも律はあの日もここから挽回するから、と言っていた。挽回は後からでもできる。怜花にだって、挽回はできるのだ。
「…もうちょっと、誰かを大切にするってことを頑張りたいなって、今は思う。あと、その誰かが大事に想ってくれてる自分のことを、…もっと認めるっていうか、…上手く言えないんだけど。」
『そうだよ!もー!本当に怜花は昔っからそういうのが下手っぴ!でも二階堂さんが今はいてくれるから、これからは私と二階堂さんとで協力して頑張るから!』
「え~…里依もそっち側に行ったら、三澄さんもそっち側だし、3対1なんて勝ち目、本当にないじゃん…。」
電話越しにくすくすと笑う声が聞こえる。里依の笑い声に怜花の笑い声も重なった。