夜を繋いで君と行く
君と初めてのクリスマスを
* * *

 玄関のドアが開いた。金曜の21時を少し過ぎた頃に、一度家に戻ってから来た怜花はようやく律の家に到着した。片手にキャリーケース、キャリーケースの上には持ち手の部分に差し込むことができるタイプのエコバックが乗せられている。

「…大荷物すぎない?やっぱ迎えに行くべきだったじゃん。」
「年末までずっとほぼ休みなしって言ってる人に余計なことさせられないよ。」

 怜花はパンプスを脱いでから、しゃがんで向きを揃えた。立ち上がって向きを変えると、律がぎゅっと抱きついてきた。

「…おかえり。仕事、お疲れ様。」
「…ただいま…で、合ってるのかな?」
「ただいまでしょ。俺のものは怜花のものなんだから。はぁー…やっと金曜で、ここから3日は怜花がいるんでしょ。…最高。」

 小さい子のように頬がすりすりと寄せられて、普段あんなにクールでかっこいい表情で雑誌に載っている人とは思えない有様だ。怜花は軽くポンと背中に腕を回し、律の香りを吸い込んだ。

「律こそお疲れ様だよ。荷物が多くなったのは、食材を買い込んできたからでもあるし、着替えとかそういうのもちょっと持ってきたから…なので。」
「食材さ、怜花に負担させすぎだなって改めて思ったから、クレカ渡しておく?」
「!?クレカを他人に渡しちゃだめでしょ!」
「他人だけど、他人じゃないし。はー…でも俺も怜花におかえり、言えた。…これはいいね。確かに言いたくなる。」

 そう言うと、律はゆっくりと腕の力を抜いた。そしてキャリーケースの上のエコバックを持つ。

「食材ってすぐ使うの?それともしまう?」
「こんな時間なんだけど、お腹減ってるからちょっとキッチン使ってもいいかな?」
「何作るの?」
「野菜多めのちゃんぽん。」
「えー!なにそれ。絶対美味しいじゃん。」
「律もお腹空いてる?」
「食べたい!」

 今日も今日とて元気な返事が返ってくる。素直な律に怜花は笑みを返す。

「本当は夜だから、あんまりカロリー高い物食べちゃダメだけど、体重戻したいので食べます。」
「賛成!手伝う!」
「じゃあ私、ちょっとだけキャリー片付けたりするから、その間にもやし洗って、キャベツはえっと…そうだな…4枚くらい千切って洗っておいてくれる?」
「そのくらいならできそう。わかった!」

 食材の片付けは律に任せて、怜花はキャリーケース本体とタイヤの部分をウエットティッシュで拭いた。そして前に置かせてもらった場所まで移動させると、コートを脱いで手を洗う。どこに何を置けばいいかで戸惑わなくなった自分に驚いて、一瞬だけ動きが止まった。
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