夜を繋いで君と行く
「…キラキラしてるよね。あの、誤解してほしくないから言うけど、こういう派手なのは全然持ってないからね。これはその…ちょっと押されて買ったっていうか、使うつもりがなくて買わされたものだったけど…でも、今日…かなって。」
「…今日で間違いないし、よく見たいんだけど…はー…もう…さっきからさぁ、綺麗と可愛いとかっこいいを全部ぶつられてんだよね…。でもちゃんと見たいから…。」

 そう言って律はゆっくりと顔を上げた。そしてその視線は怜花の体の隅から隅までを動いていく。ようやく怜花の目に視線が合った時に、そのままそっと抱き寄せられた。背後に回った指がホックを外したのを感じたが、律はそのまま抱きしめる腕を緩めなかった。

「…怜花が大丈夫なタイミングで離れるよ?」
「…ずっと大丈夫だってば。過保護だよ、律。」
「俺の方が全然ダメかも。…見たいと見たらやばいがずっとうるさい。頭の中でごちゃごちゃしてる。」
「なにそれ。…いいよ、律は。見ても触っても、本当に大丈夫だから。」

 怜花はトントンと律の背を叩く。それが合図かのように、律は腕の力を緩めた。はらりとブラがベッドの上に落ちた。上半身に何も纏わない怜花を数秒見つめて、そして深くはぁーっと長い息を吐いて、律は再び怜花を抱きしめた。

「…直接見てんのも相当やばいけど、抱きしめたら抱きしめたでまずいね、これは。」
「…ドドドドって音がする。」
「俺じゃん。」
「うん。…律の方が速いかも。」
「そりゃこんなに可愛い怜花を見せ続けられたらそうなるでしょ。」

 怜花は律の背中に腕を回した。ぴったりとくっつけるように、そして鼓動を同じリズムにしたくて。

「怜花…?」
「…ドドドドが加速してる。」
「いきすぎたら心停止するかな。」
「心停止は逆でしょ?」
「…いきなりぎゅーはさ…あの、密着度も感触も可愛さがやばいです、怜花さん。わかってやってるでしょ?」
「…ちょっとだけ。」
「なにそれ。可愛いなぁ、もう。」
「わぁっ!」

 抱きしめられたと思ったら、そのままじゃれあうように押し倒され、怜花の視界にいる律の背には天井が見えた。律の頬が赤いことはこの薄暗い部屋でも何となくわかる。
 唇が重なる。離れても、その離れた一瞬が惜しいとでもいうように繰り返した。隙間から侵入する熱を許すと、甘い音だけが響いた。

「…怜花。」
「…なに?」
「好き。大好き。…いちゃいちゃ延長戦、始めていい?」

 怜花は頷く。頑張って腕を伸ばすと、律がそっと体を寄せてくれる。その背に腕を回してぎゅっと抱きつき、律の耳元に唇を寄せた。

「…大好きだよ、律。」
< 219 / 219 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

二人の歩幅が揃うまで
夢海/著

総文字数/154,983

恋愛(純愛)182ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
最初はただ、美味しいものが食べたくて それは少しずつ、癒しの時間になっていって 気付けばただの店員さん、とは言えなくなった 「今日のおすすめのパスタ、ですよね?」 ふにゃりと笑う顔が可愛い年下大学生くんは 私の4年、後ろを歩いている ひどく疲れた顔も、少しだけ明るい顔も 段々小さな変化に気付けるようになって 返してくれる笑顔に、胸の奥がとくんと鳴った 「今日もすっごく美味しい。癒される~。」 ほんのり赤みがさした頬を膨らませながら 食事を楽しむ年上社会人さんは 4年先を歩いている 二人の歩幅が揃うまで 「年下ワンコを飼ってます」 「俺の彼女が一番可愛い!」 の綾乃と健人が出会って 二人が自然に隣にいるようになるまでのお話 2024.10.11 完結しました
10回目のキスの仕方
夢海/著

総文字数/199,108

恋愛(純愛)234ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
誰かを好きになるということは 嬉しくて、幸せで、笑顔になって。 でも、それだけではなくて。 恥ずかしくて、痛くて、悲しくて、辛くて。 そんな想いを繰り返しながら それでも手をのばしていく。 「すきって言うの、ずっと…怖かった。」 恋愛に臆病な女子大生・美海(20) 「気の利いたこと、言えないけど、それでいい?」 無表情かつ寡黙な大学生・圭介(21) 恋愛は、きっと『好き』だけではどうにもならないけれど とてつもなく純粋な『好き』から始まるのが恋であると 相手がただ傍にいるだけで満たされて、 愛しく思えたときには愛になると あなたと、君と、 出会えた今なら、信じられる。 執筆開始 2015.1.4 2015.6.29 完結しました。 2016.4.12 オススメ作品掲載 ありがとうございます! オススメ作品掲載記念 「温泉旅行」 2016.4.16
ファンは恋をしないのです
夢海/著

総文字数/86,346

恋愛(ラブコメ)87ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「ほ…本物…!?」 「あ、はい。声優、やってます。」 ハマっているアプリのアイドル声優が集うライブを見て、【推し】ではないユニットのリーダーに目を奪われてしまった里依(りい) そんなことは生まれて初めてで、ライブの余韻が抜けないままぼんやりといつも通り、こっそりとしたオタクとして生活していたはずなのに… 「似てる人だな…とは、その…確かに思いました…けど。」 「さすがに本人だとは思わないですよね。」 本物に出会い、イベントでもないのに会話をしてしまうことがあるなんて…! 声優さんの邪魔をしてはいけない。 キャラクターと声優さんを同一視してもいけない。 ましてや、個人的な感情としての『好き』なんて、抱いてはいけない。 それは、ファンとしてあるまじき思いで、行動。 【ファンは恋をしないのです】 奥手アラサーオタク×二次元アイドルの中の人 「でも声優は、恋をしますよ?」 2025.7.10完結

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop