夜を繋いで君と行く
「もしもし。」
『律?安全なところにいる?』
「うん。ホテルにちゃんといるよ。…今ね、丁度声聴きたいなって思ってたところ。」
『…大丈夫、ではないと思ってるけど、泣いては…なさそう?』
「泣いてない泣いてない。まだ驚いてるところだから。」
『今日の分はもう終わってるよね、この時間だと。』
「うん。明日の初回が地獄かなー。特に来てくれるお客さんの気持ちがさ、ざわついて…うん、始まる前からってかもう今日この時点で、明日行きたくないーって人もいるかもしれないなって。…わざわざ舞台挨拶に来たいレベルで応援してくれてる人を傷つけんのは、違うよなって…今はまずそこが心配かな。」
電話越しにはぁーと盛大なため息が聞こえた。
「…怜花?」
『…立派だと思うし、律のそういうところ、プロとしてすごいなって今純粋に思うけど。…でも違うでしょ?仕事は当たり前にどうせちゃんとやるんだよ、律は。だから先に、仕事をする側の自分じゃなくてただの律の部分を守ってあげないと、昨日みたいにしんどくなっちゃうよ。』
「…っ…。」
もうすでに、指先が冷たくて頭の中は言葉で満ちていて、とても眠れそうにないほどに困惑していた。何一つ悪いことはしていないのに、事態は悪い方向にただひたすら転がっていく。自分は何の力も加えていないのに。
『律。』
「…うん。」
『記事を信じる人がいない、とは言えない。でも私は、記事が出ても…心配にはなったけど、不安にはならなかった。…それはいつも律がまっすぐ、素直に心を見せてくれてたからだよ。』
「…嫌な思い、させてないの?」
思いのほか声が震えて嫌になる。ここ数日、ずっと自分の弱さを真正面に置かれて、対峙させられているような気がする。
『…それは、浮気されたとかそういう方面での嫌な思い?』
「それも、あるけど。」
『他は?』
「これからもこうやって、事あるごとに他の女と撮られるのかな、とか…。」
『疑う余地がないの、律には!』
「え?」
『十分すぎるほど与えてもらってるから。私が不安にならないのは、律がいっぱい好きだってことを伝えてくれるからなんですけど!』
いつもより大きな声ではっきりとそう言われて、また少し心がほぐれていく。怜花の声は不思議だった。震えて聞こえれば抱きしめたくなるのに、迷いなく聞こえれば甘えてしまいたくなるのだから。
『律?安全なところにいる?』
「うん。ホテルにちゃんといるよ。…今ね、丁度声聴きたいなって思ってたところ。」
『…大丈夫、ではないと思ってるけど、泣いては…なさそう?』
「泣いてない泣いてない。まだ驚いてるところだから。」
『今日の分はもう終わってるよね、この時間だと。』
「うん。明日の初回が地獄かなー。特に来てくれるお客さんの気持ちがさ、ざわついて…うん、始まる前からってかもう今日この時点で、明日行きたくないーって人もいるかもしれないなって。…わざわざ舞台挨拶に来たいレベルで応援してくれてる人を傷つけんのは、違うよなって…今はまずそこが心配かな。」
電話越しにはぁーと盛大なため息が聞こえた。
「…怜花?」
『…立派だと思うし、律のそういうところ、プロとしてすごいなって今純粋に思うけど。…でも違うでしょ?仕事は当たり前にどうせちゃんとやるんだよ、律は。だから先に、仕事をする側の自分じゃなくてただの律の部分を守ってあげないと、昨日みたいにしんどくなっちゃうよ。』
「…っ…。」
もうすでに、指先が冷たくて頭の中は言葉で満ちていて、とても眠れそうにないほどに困惑していた。何一つ悪いことはしていないのに、事態は悪い方向にただひたすら転がっていく。自分は何の力も加えていないのに。
『律。』
「…うん。」
『記事を信じる人がいない、とは言えない。でも私は、記事が出ても…心配にはなったけど、不安にはならなかった。…それはいつも律がまっすぐ、素直に心を見せてくれてたからだよ。』
「…嫌な思い、させてないの?」
思いのほか声が震えて嫌になる。ここ数日、ずっと自分の弱さを真正面に置かれて、対峙させられているような気がする。
『…それは、浮気されたとかそういう方面での嫌な思い?』
「それも、あるけど。」
『他は?』
「これからもこうやって、事あるごとに他の女と撮られるのかな、とか…。」
『疑う余地がないの、律には!』
「え?」
『十分すぎるほど与えてもらってるから。私が不安にならないのは、律がいっぱい好きだってことを伝えてくれるからなんですけど!』
いつもより大きな声ではっきりとそう言われて、また少し心がほぐれていく。怜花の声は不思議だった。震えて聞こえれば抱きしめたくなるのに、迷いなく聞こえれば甘えてしまいたくなるのだから。