夜を繋いで君と行く
「いただきます!」
「いただきます。」
律は大きめにスプーンですくったオムライスをそのまま一気に口に入れた。もぐもぐといつもよりも大きく口元と、ゆっくりと力が抜けていく目元に、味は大丈夫だったことがわかる。
「はぁー……うまぁ。やっぱ怜花のご飯が一番美味しい。ご飯もさ、なんかこれ具、いっぱい入ってない?食感が楽しい。」
「うん。色々入れたよ。具沢山ってよく言うから。」
「それはさぁ、怜花がそう言っても嫌な顔一つしないで聞いてくれるからだよ。こういうの食べたいとか、食べたくないとか、そういうの親に言ったこと、物心ついてからないと思う。ちっちゃい頃はあったのかもしれないけど。」
ドクンと怜花の心臓が強く鳴った。何でもないことのように律が淡々と話しているが、怜花の方には緊張が走る。
「……だから、俺は怜花とのご飯が好きなんだよね。」
おそらく怜花の緊張を察したのだろう。律が柔らかく微笑んだまま、怜花を見つめて言葉を続けた。
「美味しいっていうのももちろんだけど、息苦しくない家での食事ってさ、多分自分の家と呼ばれるような場所でできたの、本当に怜花が初めてなんだよね。特に今日はめちゃくちゃ気合入ってるよね。手が込んでる感じがする。頑張ってくれてありがとう。」
律は微笑んでいて、言葉だって優しいのになんだか怜花の方が泣きそうだった。泣くわけにはいかなくて、少し下を向いて怜花は唇を噛んだ。
「怜花?」
「……り、律のせいで。」
「うん?」
「私は泣きやすく、なった、から。」
「うん。」
「……ちっちゃい頃の律がもし。」
「うん。」
「私みたいに、息苦しかったんだとしたら……その苦しさは、わかってしまうから。」
「そうだね。だから俺は怜花の苦しさも嫌さも、完全に同じではなくても想像はできる。似た感じなんじゃないかって。で、この前の妹、お母さん、その二人の対応を聞いて、違うけど同じなんだってわかった。」
「違うけど、同じ?」
律は頷いた。
「やり方は違う。されたことは具体的に言えば違う。でも与えたことは同じ。」
カタンと律のスプーンが置かれた。
「話は聞いてもらえない。声は届かない。意思はないのだと見切られる。そうされることで、自分は無力で何もできないのだと、誰からも選ばれない、愛されないのだということを、結果として与えられてたんだと思う。」
「いただきます。」
律は大きめにスプーンですくったオムライスをそのまま一気に口に入れた。もぐもぐといつもよりも大きく口元と、ゆっくりと力が抜けていく目元に、味は大丈夫だったことがわかる。
「はぁー……うまぁ。やっぱ怜花のご飯が一番美味しい。ご飯もさ、なんかこれ具、いっぱい入ってない?食感が楽しい。」
「うん。色々入れたよ。具沢山ってよく言うから。」
「それはさぁ、怜花がそう言っても嫌な顔一つしないで聞いてくれるからだよ。こういうの食べたいとか、食べたくないとか、そういうの親に言ったこと、物心ついてからないと思う。ちっちゃい頃はあったのかもしれないけど。」
ドクンと怜花の心臓が強く鳴った。何でもないことのように律が淡々と話しているが、怜花の方には緊張が走る。
「……だから、俺は怜花とのご飯が好きなんだよね。」
おそらく怜花の緊張を察したのだろう。律が柔らかく微笑んだまま、怜花を見つめて言葉を続けた。
「美味しいっていうのももちろんだけど、息苦しくない家での食事ってさ、多分自分の家と呼ばれるような場所でできたの、本当に怜花が初めてなんだよね。特に今日はめちゃくちゃ気合入ってるよね。手が込んでる感じがする。頑張ってくれてありがとう。」
律は微笑んでいて、言葉だって優しいのになんだか怜花の方が泣きそうだった。泣くわけにはいかなくて、少し下を向いて怜花は唇を噛んだ。
「怜花?」
「……り、律のせいで。」
「うん?」
「私は泣きやすく、なった、から。」
「うん。」
「……ちっちゃい頃の律がもし。」
「うん。」
「私みたいに、息苦しかったんだとしたら……その苦しさは、わかってしまうから。」
「そうだね。だから俺は怜花の苦しさも嫌さも、完全に同じではなくても想像はできる。似た感じなんじゃないかって。で、この前の妹、お母さん、その二人の対応を聞いて、違うけど同じなんだってわかった。」
「違うけど、同じ?」
律は頷いた。
「やり方は違う。されたことは具体的に言えば違う。でも与えたことは同じ。」
カタンと律のスプーンが置かれた。
「話は聞いてもらえない。声は届かない。意思はないのだと見切られる。そうされることで、自分は無力で何もできないのだと、誰からも選ばれない、愛されないのだということを、結果として与えられてたんだと思う。」


