ふたりはミラクルエンターテイナー!

2.

「わぁ、キレイだね!」
 ファルファデ王国の上空にさしかかったネルはびっくり。
 地上いちめんにたくさんのお花が咲いています。
 大きなお花、小さなお花。赤やきいろ、ピンクにむらさき、青にオレンジ。
「まるで国じゅうがお花畑ね」
 モエもおどろきの声をあげました。
「ん? なんかいい香りがしてきたぞ」
 パンぞうがくんくんと鼻を動かします。
「あっ、あれ!」
 ネルがハッと指さしました。
 色とりどりのお花がかざられたテーブルの上に、ほかほかのパンケーキがどっさり。
「いらっしゃいませ~。ただいま焼き上がりました~!」
 白いチューリップのぼうしをかぶった妖精の女の子が、大きな声でまわりに呼びかけています。
「きっと、あそこがパンケーキのお店よ! 行こう行こう!」
 モエが、ほらほらとネルをせかします。
「わわっ、そんなにあわてると落ちちゃうよ!」
 ネルはほうきのバランスをくずさないよう一苦労。

「うーん、サイコー!」
 パンケーキを食べたモエは大まんぞく。
「ホントだ、こりゃうめーや!」
 パンぞうも止まりません。
「わたしも! こんなにおいしいの、食べたことない!」
 ネルもついついパンケーキのおかわりに手がのびてしまいます。
 白いチューリップのぼうしをかぶった女の子が、そのようすを見てうれしそうにほほえみました。
「ありがとうございます、わたしはレナ。家族みんなでこのパンケーキのお店をやってるんです」
「よろしくね! わたしはネル。わたしもときどきパンケーキ作ることがあるけど、レナちゃんみたいに、こんなにじょうずにできないよ」
 すると、レナはちょっぴり照れたように顔を赤くして、
「おいしさのひみつは、花のみつのおかげなんです」
 と、せなかの白い羽をパタパタ動かしました。
「みつ?」
「ええ、ファルファデ王国のいちばん大きな花畑でとれるみつ。トロリとしたこがね色で、甘くって、とってもおいしいんですよ」
 それを聞いて、モエが首をかしげました。
「この国にはあちこちお花が咲いてるけど、もっと大きな花畑があるの?」
「そう。ここからちょっぴりはなれてるんですけど、そこは、まるでお花でできた宝石箱みたいに、すっごくキレイなところなんです」
 レナの言葉に、モエはピーン! とひらめきました。
「ネル、そこのお花を使えばステキなティアラができあがるんじゃない?」
「そうだね! 宝石箱みたいにキレイな花畑なんて行ってみたいな」
 ネルたちは、さっそく花畑に出発することにしました。
「あ、ちょっと待って!」
「レナちゃん、どうしたの?」
「あそこは……ちょっぴりイタズラ好きの妖精たちがいるんです。まどわされちゃうかもしれません。よければこれをどうぞ。困ったときに広げてみてください」
 レナは、ネルに一枚の紙を手わたしました。
「ありがとう、レナちゃん!」
 こうして、ネルたちは花畑に向かって飛びたったのですが……。
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