ふたりはミラクルエンターテイナー!

3.

 そして、ファッションショーの結果は――。
「特別賞! ネル&モエ!」
「わぁーっ、やったー!」
 ネルたちは、グランプリはとれなかったものの、特別賞に選ばれました。
「おめでとう、ネルとモエ! オレさまも鼻が高いぜ」
 パンぞうがふたりをお祝いしに飛んできました。
「パンぞうもおつかれさま、いっしょにおどってくれてありがとね」
 ネルはよしよしとパンぞうの頭をなでまわしました。
「なあなあ、特別賞ってなにかもらえるのか? うまいモンだったらいーな」
「いったいなんだろうね?」
「ネル、表彰台に呼ばれてるわよ」
 モエが、ちょいちょいとネルのかたをつつきました。
 ふたりがバタバタと表彰台にのぼると、魔法学校の校長先生がニッとふたりに笑いかけました。
「おめでとう、ネルとモエ。よくがんばりましたね。そんなあなたたちにピッタリな賞品を用意しました」
「わたしたちに?」
「ビッタリ?」
 なんだろう? と、ふたり。
「はい」
 と、校長先生がさし出したのは。
「わあっ、ハンディマイクとハンディミシンだ!」
 ネルは思わず声をあげました。
「ふたつともハートがいっぱいのデザインね! かわいい~♪」
 モエもとってもうれしそうです。
「みんなで相談した結果、あなたたちにこれからもドレス作りとアイドルをがんばってもらいたくてね」
 校長先生の言葉を聞いて、ふたりは目を見開きました。
「みんなで?」
「相談?」
 コホン、と、ばあやさんのせきばらいが聞こえました。
「姫さま、ネルさん。あなたがたのステージ、わたくしも、とても心を動かされました」
「ばあや! それじゃあ、これからもネルとアイドル活動できるのね?」
 モエは、ホッとむねをなでおろしました。
「ええ。ただし、おふたりともきちんと勉強もなさること。それから、もう勝手にお城をぬけ出してはダメですからね!」
「はーい、ゴメンなさい!」
 ふたりは、声をそろえてばあやさんにあやまりました。

「ネルー!」
「モエー!」
 観客席がにぎやかになりました。
「ほら、みんながあなたたちのことを待っていますよ」
 校長先生が、あたたかくふたりの背中を押します。
「もう一度歌ってー!」
「アンコール、アンコール!」
「おそろいのドレスかわいいー!」
 ネルとモエは、おたがいに顔を見合わせて、なにかを決意したようにうなずいたあと、元気よくステージに飛び出しました。
 「魔女だから」とか「プリンセスだから」とか、そんな言葉にわたしたちはもうしばられない。
 これからもいっしょに歌おう。いっしょにおどろう。
 ステキな服をいっぱい作ろう。幸せの魔法を思いっきりかけよう。
「みんな、いっくよー!」
 ネルとモエによる、笑顔の魔法の時間は、これからもずっとつづいていくのでした。

【あなたもファッションデザインにチャレンジ】
ネルとモエにピッタリなドレスを考えて描いてみてね。

                                   おわり
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