推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~


「すごいね。君さ、もしかして経験者だったりする?」


メンバーの一人である潤さんが、悠月に話しかける。


「……別に。さっきアンタたちがやってたのを、マネしただけ」


悠月はクールにそう答えると、そっぽを向いてしまう。
だけどそんな不愛想な悠月の態度にも、どうしてか星穏さんは、ぱあっと嬉しそうな顔をしている。


「君、めーっちゃ気に入ったわ! 合格!」


そして、星穏さんの口から“合格”の言葉が告げられる。
次の瞬間、観客席がわあっと盛り上がった。


(う、ウソでしょ!? まさか悠月が、meteor(メテオ)の新メンバーになっちゃうなんて……!)


驚きとか困惑とか、色んな感情で胸がいっぱいになる。
ぼうぜんとステージの上を見つめていれば、星穏さんと目が合ってしまった。


(わ、推しと目が合っちゃった……!)


緊張で固まってしまえば、考えるような顔をしていた星穏さんは「あっ」と声を上げ、目を細めて笑った。


「あの時の子やん!」


わたしを指さしてそう言うと、ステージから下りてこっちに近づいてくる。

――っていうか、え!? お、推しがわたしを見て、こっちに歩いてきてる!? 何これ、どういう状況!? というかわたし、推しに認知されてるの!? 会ったのなんて、ほんの数分の間だけなのに……!

プチパニックになっている間に、星穏さんが目の前までやってきてしまった。

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