推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
「あぁ? 何だよ、ガキが出しゃばってくるんじゃねーよ」
「いやぁ、おれ、見とったんやけど、お兄さんもスマホ見ながら歩いとったやん?」
「そ、それは……」
「やから、ぶつかったのはお互いさまやない? それにそのシミも、洗ったら落ちそうやし。そーんなガミガミ怒っとるから、周りの人たちもびっくりしてるで?」
怒っていたお兄さんは、そこでようやく、周りの人たちから好奇の目で見られていることに気づいたみたいだ。
「チッ、もういいわ。今度から気をつけろよな」
「あ、はい。本当にすみませんでした……!」
お兄さんは舌打ちをひとつ落とすと、足早にこの場からいなくなった。
とりあえず、大事にはならなくてよかったぁ……。
ホッとしていれば、金髪の男の子が、心配そうに顔をのぞきこんでくる。
「大丈夫やった?」
「あ、はい! あの、助けてもらって、本当にありがとうございました!」
頭を下げてお礼を伝えれば、男の子の大きな手が、わたしの頭にポンとのせられた。
そのまま優しい手つきでなでられる。
「どーいたしまして。でも、君もちゃーんと前を向いて歩かないとだめやで?」
「は、はい」
「ん、いい子やな」
金髪の男の子が、二ッと笑う。お日さまみたいな、まぶしい笑顔で。