推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
――あれ、どうしたんだろう。心臓の音が、すっごくうるさい。
今にも破裂しちゃうんじゃないかって思うくらい、ドキドキ高鳴っているのが分かる。
「そんじゃあ、おれは行くな」
「あっ……」
名前を聞こうと思ったけど、呼びとめるひまもなく、男の子は走っていってしまった。
遠ざかっていく背中を目で追っていれば、近くにいた女の子たちの色めき立った声が聞こえてくる。
「ねぇ! あそこ走ってるのって、久東星穏くんじゃない?」
「え、ウソ!? あー、声かければよかったねぇ」
「この前ね、友達が階段から足を踏み外しそうになったんだけど、たまたま近くにいた星穏くんが、手をつかんで助けてくれたの! ちょーカッコよかったぁ」
「えー! やっば! 本当に王子様って感じだよね」
「ねぇ、今度の“meteor(メテオ)”の学園ライブ、一緒に行かない?」
「え、もちろん行く!」
楽しそうにおしゃべりをしている二人組の女の子は、学生服を着ている。
口ぶりからして、さっきの男の子のことを知っているみたいだ。
もしかして、同じ学校の生徒なのかな?
でも、メテオって……何のことだろう?