推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
「えぇ、ちょっとくらいええやん」
「だめに決まってるだろ。……あんまり近づくと、汗臭いのが紗南に移る」
「えっ、もしかしておれ、めっちゃ臭かったりする!? ほんまに!?」
悠月の言葉に、星穏さんは“ガーン”とショックを受けたような顔をしている。
だけど、全然汗臭くなんてなかったし、むしろ、爽やかな良い匂いがしたような気がするけどなぁ。
……って、何かわたしってば、変態っぽい!? でも、本当にいい匂いがした気がしたんだもん……!
心の中で言い訳をしていれば、潤さんと有栖さんもこちらに向かってきた。
「紗南ちゃん、悠月くん。ライブはどうだった?」
「潤さん、お疲れ様です! ライブ、すっごく楽しかったですよ! 皆さんカッコよかったです」
「そっか、それなら良かったよ。ありがとう。それからさ……」
潤さんは、何かを言いたげな顔で言葉を途切れさせた。
だけど代わりに、有栖さんがその続きを口にする。
「ねぇ、さっきのバケモノ! あれを追い払ってくれたのって、紗南ちゃんとゆづちゃんじゃないの!?」
「……えーっと、」
有栖さんが興奮している様子で顔を近づけてくる。
何て答えようかと戸惑っていれば、わたしと有栖さんの間に身体を滑り込ませてきた悠月が、さらっと頷いた。