推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
「よし。とりあえず、今日のレッスンを始めようか」
「悠月くんのお披露目ライブも、いよいよ明日だしね。もう完璧だと思うけど、もう一回通してやってみよう」
いよいよ明日は、ライブの日だ。
レッスン自体はすごく順調なんだけど……一つだけ気になるのが、この一週間、レッスン中にセイレーンの呪いの姿が一切現れなかったことなんだよね。
朝早めに登校して、悠月と校内を散策してみたりもしたんだけど、セイレーンの嫌な気配なんかも全然感じなかったんだ。
「……あ。わたし、教室に忘れ物しちゃったみたいです。ちょっと取ってきますね」
「紗南、おれも一緒に行く」
「大丈夫だよ! 悠月は明日に向けての最後のレッスン、頑張って!」
この前ファンの子たちに囲まれちゃったこともあったから、悠月はすごく心配してくれているみたい。
でも、翌日に廊下で先輩たちとすれ違ったんだけど、すごく気まずそうな顔をしていたし、同じようなことをされちゃう心配はないと思うんだ。
だからわたしは、一人でミーティングルームから出て、教室に向かった。
「小戸森紗南さん、ですわよね?」
――だけど、教室に向かっている途中で、声をかけられちゃった。
もしかしたら、またファンの子たちかもしれない。
嫌な予感がしながら振り返れば、そこに立っていたのは一人の女の子だった。確か、同じクラスの子だ。