反抗期の七瀬くんに溺愛される方法

夏樹side⑬

 夜風がやわらかく頬をなでていく。
 街灯の下、手をつないで歩く小春の横顔は、何度見ても飽きなかった。

「ごめんね。高松さん、可愛いから、なつくんが取られそうで心配になっちゃった」

 その言葉に、思わず足を止めた。
 小春は下を向いたまま、少し唇を噛んでいる。
 頬がほんのり赤くなっていて、見ているこっちが照れそうになる。

 ――ああ、ほんと。
 俺はこの子の、こういうところにいつもやられる。

「心配すんな」
 そう言いながら、つい優しい声になる。

 けど、小春は納得してない顔で、ふくれたように言った。
「……でも、心配になるよ!亜美って…呼び捨てにしてるし」

 その瞬間、思わず笑ってしまった。
 そんなこと気にしてたのか。
 拗ねてる顔が、たまらなく可愛い。

「……一番かわいいのは、小春だから」

 正直、照れくさくて言うつもりじゃなかった。
 でも口が勝手に動いてた。

 小春が顔を上げて、ぱちっと目を見開く。
 その表情を見た瞬間、胸の奥がじんわり熱くなった。

 ――やっぱり、俺はこいつが好きなんだ。

 高松は、男子が好きそうなタイプだった。
 誰が見ても可愛いし、甘え上手で、明るくて気遣いが上手だ。
 でも――俺は違う。

 不器用で、強がりで、たまにものすごく素直な小春が、どうしようもなく愛おしく思う。

 小春より好きになれる人、なんて。
 『この先いるはずないだろ』

 「ん?何かいった?」
 「んーん、なんでもない」

俺はただ、隣にいる小春の手をぎゅっと握りしめていた。
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