反抗期の七瀬くんに溺愛される方法
 教室の窓から差し込む朝日が、机の上を淡く照らしている。
 小春はリュックから取り出したパンを片手に、少しずつ心を落ち着けていた。

 ――朝ごはんくらい、ちゃんと食べておかないと。

 そんなとき、教室のドアが勢いよく開く音がして、夏樹が慌てた様子で入ってきた。

「小春!」
 少し息を切らした声。顔は焦りと困惑が入り混じっている。

 小春はパンを口元に運ぶ手を止め、ドキリとする。

「ちょっと、話そう」
 夏樹は私の席の横まで来て、真剣な目で言った。

 でも、昨日のこともあって、心がざわつく。
 ――今は少し距離を置きたい……

「……ごめん、今は少し距離を置きたいの」
 小春は目を逸らしながら、静かに言った。

「……いやだ」
 夏樹は一歩も引かず、少し強く言う。
「距離なんて置かせない。小春と、話したいんだ」

 小春は胸の奥がきゅっと締めつけられるのを感じた。
 ――話したいって……でも、怖いのもある。

「なつくんのことも、私のことも……嫌いになりたくないから」
 言葉がこぼれた瞬間、少し涙が滲む。
 心の奥の、もやもやした感情が、静かに表面に現れた。

 夏樹はその言葉に少し息を詰め、どこか悲しそうに微笑む。
――彼のその笑顔が、胸にぐっと響いた。

「わかった……でも、ちゃんと話すまで、諦めないから」
 その声に、小春は胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。
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