反抗期の七瀬くんに溺愛される方法
次の授業は体育だった。
 教室で準備をしていると、秋が軽やかに笑う。
「よし、次は体育だね。楽しみだな」

 ――体育が得意だって、さっき言っていたっけ。

 運動場に出ると、クラスメイトたちのざわめきの中、秋は思った以上に動きが軽やかで、笑顔も爽やか。
 走るたびに風を切る姿に、思わず目が釘付けになる。

 一方、夏樹も運動神経は負けていない。
 二人が向かい合うと、少し競り合うようにボールを追いかけ、ぶつかりそうになりながらもお互い譲らない姿が見えた。

 ――なつくんと秋くん、同時にかっこいい瞬間を見るなんて……
 胸がざわついて、思わず手を握りしめたくなる。

 秋が素早くドリブルして、夏樹をかわす。
 軽やかにステップを踏んで放ったシュートは、きれいな弧を描いてゴールに吸い込まれた。

「ナイスシュート!」
 クラスメイトの歓声が上がる中、秋はふとこちらを見て――爽やかに笑い、手を振ってきた。

「えっ……」
 思わず胸が高鳴ってしまう。

「きゃーっ! 小春! 見た!? 秋くん、めっちゃかっこよくない!?」
 隣で凛が腕をつかんで大騒ぎしている。

「う、うん……」
 答えながらも、まだ鼓動の速さが収まらなかった。

 ――でも。
 視線を動かすと、夏樹が少し悔しそうに唇を結んでいるのが見えた。
 これまで何をやっても負け知らずだった夏樹が、競り合いで押し切られた姿を初めて見て、胸の奥がざわつく。

 秋の爽やかな笑顔に心が揺れる一方で、夏樹の姿が気になって――どうしていいかわからなかった。
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