反抗期の七瀬くんに溺愛される方法
昼を過ぎても、校舎の中は笑い声と音楽で満ちていた。
廊下を歩くたびに、焼きそばやポップコーンの匂いが混じって、胸がくすぐったくなる。
「小春、こっちも手伝ってー!」
凛の声に呼ばれて、慌てて顔を上げた。
廊下の先では、夏樹が脚立の上で装飾のリボンを直している。
光が差し込んで、汗で少し濡れた髪がきらりと光った。
(……ずるい)
なんで、あんな顔するんだろ。
いつも不機嫌そうなのに、ふとした瞬間だけ優しい。
それを見つけるたびに、胸がきゅっとなる。
「小春」
後ろから声をかけられて振り返ると、秋が笑って立っていた。
右手には、文化祭限定のクレープ。
「これ、一緒に食べようと思って」
「あ、ありがとう」
手渡されたクレープを受け取る。
クレープの包み紙から、ほんのり甘い匂いが漂う。
「食べたかったの!すごい人気なのに」
「うん、小春ちゃんに食べてもらいたくて」
そう言って照れたように笑う秋の姿に、胸が少しだけくすぐったくなった。
その時だった。
「――小春」
低い声に振り向くと、夏樹がこちらへ歩いてきていた。
少し不機嫌そうに眉を寄せて、私と秋の手元を見て、視線を戻す。
「なつくん?」
「お前、まだ準備終わってねぇだろ。……それに、約束しただろ」
「え?」
「俺と回るって」
静かに、けれどはっきりと。
その一言で、胸の奥がドクンと鳴った。
廊下を歩くたびに、焼きそばやポップコーンの匂いが混じって、胸がくすぐったくなる。
「小春、こっちも手伝ってー!」
凛の声に呼ばれて、慌てて顔を上げた。
廊下の先では、夏樹が脚立の上で装飾のリボンを直している。
光が差し込んで、汗で少し濡れた髪がきらりと光った。
(……ずるい)
なんで、あんな顔するんだろ。
いつも不機嫌そうなのに、ふとした瞬間だけ優しい。
それを見つけるたびに、胸がきゅっとなる。
「小春」
後ろから声をかけられて振り返ると、秋が笑って立っていた。
右手には、文化祭限定のクレープ。
「これ、一緒に食べようと思って」
「あ、ありがとう」
手渡されたクレープを受け取る。
クレープの包み紙から、ほんのり甘い匂いが漂う。
「食べたかったの!すごい人気なのに」
「うん、小春ちゃんに食べてもらいたくて」
そう言って照れたように笑う秋の姿に、胸が少しだけくすぐったくなった。
その時だった。
「――小春」
低い声に振り向くと、夏樹がこちらへ歩いてきていた。
少し不機嫌そうに眉を寄せて、私と秋の手元を見て、視線を戻す。
「なつくん?」
「お前、まだ準備終わってねぇだろ。……それに、約束しただろ」
「え?」
「俺と回るって」
静かに、けれどはっきりと。
その一言で、胸の奥がドクンと鳴った。