もしも、あっちの部活を選んだら?
三度目の正直? バドミントン部!

三回目の入部

「あれ、美優? どうしてここにいるの?」

私は確か、電車に乗っていてそのまま寝てしまったような……。

「それに制服なんて着ているし」

「真澄ったら何言ってるの? 私たち中学生になったでしょ?」

きょとんとした表情で美優が私を見ている。

ここは電車の中なんかじゃない。中学校の教室の中だ。

それに私も中学校の制服に袖を通している。
まだ着慣れていないみたいにパリパリとした感触がする。

まるで中学校に入学したばかりみたい。

「おかしいな。電車に乗って部活の大会に行こうとしてた気がするんだけど」

自分でそう言いながらも一体何の大会に行こうとしてたのか思い出せない。

「夢でも見てたんじゃない? まだ入部する部活も決めてないでしょ」

あれ、そうだったっけ?
そう言われると何だかそんな気がしてきた。

「だって私たち、今日から中学校に入学したんだから」

そっか、今日って中学校の入学式だったんだ。
それじゃあ大会に行こうとしてたのも夢を見ていたんだ。

どんな夢だったか思い出せないけど、なんかいい夢じゃなかったような気がする。
どちらかという悪夢だったような。

「クラスメートがどんな人たちか楽しみだよね」

教室には見慣れない隣の小学校からきた生徒達がいっぱいいて……。

「私、どこかで会ったことあるような気がする」

ほとんど初対面のはずなのにどこかで会ったような気がした。

「小学校は違っても近所だからどこかで見たことあるのかもね」

美優にそう言われると何だかそんな気がしてきた。

ま、今日から中学校生活がスタートするんだもんね。
気を取り直して、中学校デビュー頑張るぞ!

「なんだよ、また真澄と一緒かよ」

苦々しい顔をして腐れ縁のコウが私を見てきた。
うわ、中学校になっても同じクラスなんだ。
これで連続七年間一緒のクラスだ。

「真澄と一緒なのも飽きてきたぜ」

「それはこっちの台詞なんですけど」

誰が好きでコウと一緒のクラスになっていると思ってるのさ。

「やっぱり二人は仲がいいね」

美優は変なこと言ってるしさ。
よし、ここははっきり言っとかないと。

「誰がこんな奴と仲がいいのさ」

うわ、最悪。

私とコウの言っていることがハモっちゃったよ。
もう、マジありえないんですけど!

美優だけが一人、楽しそうにケラケラ笑っていた。
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