もしも、あっちの部活を選んだら?
「やっぱ先輩たちは強いね」

結局、試合は負けてしまった。
だけど私と美優のパスで取ったゴールから流れは一年生チームに来ていた。
十点以上あった点差を四点まで縮めたんだからね。

「あの時、真澄が声をかけてくれたからパスが出せた。ナイスだね真澄」

「あれは美優のシュートのおかげだよ」 

そう言いつつも誉められた悪い気はしない。

「竹口さんのあの一言は大きかったと思うな。次は先輩たちに勝てるように頑張ろう」

花村さんが私にも声をかけてくれた。
いつもは美優とばかり話して私なんて眼中になかったのに。

少しだけでも変わってきているかも?

「さっきの試合見てたぜ。真澄ナイスだったな」

きらりと汗を流したコウが話しかけてきた。
スポーツをしているといつもの三倍増しでかっこよく見えてくる。

「へへ、そうでしょ」

「あそこでシュートができればもっとかっこいいし相手もきっとビビるぜ。俺が今度、シュートを教えるよ」

「やったー、ありがとう」

「あー、また竹口さんと伊崎くんで話してる」

先輩の誰かに見つかってしまった。すぐに他の部員も私たちに注目する。
どこの部活に入ってもコウは注目されちゃうんだな。

「ねえ、二人はどんな関係なの?」

「それは、ねえ」

いつもならただの腐れ縁ですってそう言い返していた。
けど、今はそれだけじゃ嫌だ。

私はずっとコウのそばにいたい。

「昔からずっと一緒もいる私のベストパートナーです」

「ええ、そうなの?」

私の予想外の一言にみんなが驚いている。
美優と花村さんも目をまんまるにしている。

こればっかりは譲れない。コウは誰にも渡さないんだから。

「そうだよね、コウ?」

「おう、俺と真澄はベストパートナーだな」

やった、コウも私に乗ってくれた。

コウと目が合う。ドキッとして、そして小さく微笑んだ。
いつもありがとう。大好きだよ、コウ。

安心しろ、俺がいつもそばにいるからな。

コウが私にそう言っている気がした。

そして今度はちゃんと自分の気持ちをコウに伝えるんだ。

よし、何だかバスケのモチベーションも上がってきた。
練習頑張ってレギュラー目指しちゃうもんね。

私は今の自分にできることは全力でやる。
目の前の現実から逃げずに立ち向かうんだ。

そのためにもよろしくね、コウ。

「よーし、次の練習も張り切っていくぞ!」

私の声が体育館中に響き渡った。
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