壁の中の彼氏
「どうしたんだよ、顔が真っ青だぞ」
「橋田……。どうしよう俺。見ちゃいけないものを見たかもしれない」
「見ちゃいけないもの?」
 もちろん、そのときはなにを言っているのかわからなかった。
 だけど怯えている明人からどうにか聞き出した話を総合してみると、どうやらバイトが関係しているようだった。
「この前荷物を落としちゃったんだ。それでガムテープがはがれて、中が少しだけ見えたんだ。白いハッポウスチロールみたいなものがつまってた。それに中からドライアイスの煙が出てきたんだよ。だから、なにが入ってるのか気になったんだ」
 だから、ガムテープを貼り直すという名目上、一度荷物を開けた。
< 161 / 189 >

この作品をシェア

pagetop