壁の中の彼氏
  亜美が転校していくことを友達のよっちゃんもけいちゃんも、クラス委員長のまっちゃんも泣いてくれた。
  それにつられて亜美も泣いたけれど、今はそれが遠い昔の思い出みたいだ。
  目の前にそびえ立つ一軒家が今日から家族の家なのだと思うと自然と心が踊った。
  友人との別れに傷心に浸っていた自分はどこへ行ったのか、自分でも不思議なくらいだ。
  父親がこの物件を購入したのは、もともと暮らしていた街の河川敷が決壊したことがきっかけになった。
  今年の夏は特にひどい豪雨で、堤防は耐えきれなくなったのだ。
< 4 / 60 >

この作品をシェア

pagetop