【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

3.

 薬草園の見学を終え、リネットはモアにも感謝の言葉を伝えた。
「ずっと見てみたかったんですけど。手続きが面倒で……」
 正直に言えば、モアも「そうですよね」と笑って答える。
「魔法師の方は、薬草について詳しいですからね。私たちは、魔法師の方が必要とする薬草を育て、管理しているだけなんです。ただ、新しい品種の薬草を育ててほしいと依頼があったときは、その薬草の効能なんかを調べたりしますけど。基本的にはリストに書いてある薬草を育てているだけで……実はよくわかってないんですよね」
 逆に薬草をよく知らない人物が管理したほうが、余計なことを考えずに対応できるのかもしれない。
「また、来てもいいですか?」
 リネットは自然とそう尋ねていた。モアの人柄もあるが、面倒くさいと思っていた手続きが、それほどでもない気がしてきたからだ。
 今日、薬草園を見て、薬草の種類をある程度把握できたことで、後日、薬作りのために採取したいという気持ちも芽生えた。
「もちろんです。リネットさんは、薬草を悪用しそうな人に見えないですから」
「そうやって人を見た目で判断するのは危険だと、教えられなかったのか?」
 ラウルが声色を下げて、モアに言う。
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