【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「それはもう、薬草園にやってくる人はすべての人間を疑えと言われてますけど。でも、いろんな人を見ているせいか、第六感が鋭くなっているんですよ」
 それだけモアが、リネットを信頼してくれたということだろう。
「では、モアさんがここにいるとき。来るようにします」
「ぜひぜひ。ここに来る人って、魔法師の中でもどエライ人たちばかりで。こっちが緊張すると言いますか。とにかく、同じくらいの年の人が来てくれたほうが、私も気は楽です」
 なんとも正直な人だ。その飾りのない言葉や仕草に、リネットも心を許す。
「今日は世話になったな」
 ラウルがモアに礼を告げ、二人は薬草園を後にした。
「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです。あそこで育てている薬草の種類もわかりましたし。希望を出せば、他の薬草も育ててもらえることもわかったし」
 今までそれを確認しようとしなかったのは、面倒くさかったからだ。しかし、今日、モアと話をしながら薬草園を案内してもらい、面倒くさい面倒くさいと思っていた手続きも、そうではないのでは、という気持ちが生まれてきた。
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