【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「お気遣いいただきありがとうございます。だけど私、花よりも薬草を育てたいんですよね」
「薬草は、騎士団の医療班の管轄だからな。勝手にその辺で育てることはできない」
 魔法と薬草は密接な関係があるというのに、この国では魔法師が薬草を育てられない。不満というか不便というか。
 だから必要な薬草があれば、ブリタに申請して騎士団から届けてもらう形になる。それも、薬草の不正利用や乱用を防止するための策らしい。
「私の国では、薬草も自由に育てられたんですけどね」
「私の国? 君はこのセーナスの者ではないのか?」
「はい。私はスサ小国の出身なので」
「だから魔法院で寝泊まりしているのか?」
 ラウルの反応を見れば、彼はリネットの出自について知らなかったようだ。話題にあがらなければ、他人においそれと話すことでもない。
「そうです。こちらの国は魔法を使える者を魔法師として国が管理していますよね。その制度に興味があったので」
 その気持ちも嘘ではない。
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