【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 次から次へとスプーンが口元まで運ばれ、リネットはそれをパクッと食べる。自分で手を動かさなくても、食事ができる。やはりここは天国に違いない。
 だが、それもすぐにお腹がいっぱいになってしまった。
「……もう、お腹がいっぱいです」
「なんだって? まだ、スープも半分しか飲んでいない。パンも食べなさい。一口でもいいから」
 小さくちぎったパンをラウルが差し出したため、それもパクッと咥えた。だが、勢い余ってラウルの指まで軽く噛んでしまう。
「あ、ごめんなさい」
「いや、問題ない。それよりもだ!」
 ラウルは、リネットが残したパンを半分にちぎって、自分の口の中に放り込み、咀嚼して飲み込んだ。
「君は、食べる量も少なすぎる! せめてスープは一皿、パンも一個くらいは食べるようにしなさい。さっきも言っただろう? 睡眠、食事、運動。それが健康の三要素だが、この三要素すべてが君には欠けている」
 そこまで言ったラウルは、もう半分のパンも勢いよく食べ、熱弁を続ける。
「俺と君は運命共同体。君に何かあったら、俺の命も危ない。となれば、君には健康でいてもらう必要がある」
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