【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 お~怖い怖い、とエドガーが自分で自分の身体を抱きしめる。
「だって、ここの資料では足りないんですもん。もう少しヤゴル遺跡について調べたいので」
 今まではセーナス王国の一連の歴史を調べていた。そこにどのような呪いが関係して、どのような結果が生まれたのか。しかし、各地区の細かい歴史については、まだまだわからないことが多い。そういった各地域に特化した資料は、ここには置いていない。
 となれば図書館に頼るしかない。
「失礼ですね。私だって、今までも十日に一回くらいは図書館に通っていました」
 それは本の貸し出し期間が十日だからだ。
「でも、僕の記憶じゃ、君は四日前にも図書館に行ったばかり。その本の返却期限はまだきていない」
「エドガー先輩も、なんでそんな細かいところまで覚えているんですか!」
 十日に一回図書館に通っていると自分で口にしたリネットだが、正確には十五日に一回くらいだ。返却期限がきても、自分から図書館に向かうことはしない。たいてい図書館の係から「期限が過ぎてますよ」と催促を受けてから返却しに行く。返却したら、そのついでに借りたほうが効率もいいため、係の人から「次は期限を守ってくださいね」と言われながら本を借りる。
< 83 / 339 >

この作品をシェア

pagetop