【完結】春の庭~替え玉少女はお飾りの妻になり利用される~
【愛読御礼番外編】公爵令嬢シャーロットの結婚⑤
「お嬢様、エドガー様がお越しになりました」
「え?今日はお茶会の日じゃないわよね? 何かしら……いいわ。応接間にお通しして」
ドレスを着替え直し髪を結って、応接間に向かった。
するとドアから激しい言い争いの声が漏れてきた。
「メイドから聞いたわ。貴方はシャーロットにずいぶん素っ気なかったそうね! この前のお茶会でも愛想をつかして退席したシャーロットを追いかけもせずただ椅子に座っていたんですって?」
「あ…あの…」
「今日は何をしにいらしたの? 今頃お詫びにでも来たわけ?」
「しかも君は目の前に娘がいるのに、妻の話しばかりしていたそうじゃないか? 君は妻に懸想しているのか? 私に喧嘩を売るつもりならいつでも受けて立つぞ」
あ~あ……
あのお茶会で側についてたのは、エリーだったわ。会話の内容を両親にチクったわね。
「ち…違うんです! そんなつもりは全くなくて…」
「お父さま、お母さまもう結構です」
深呼吸をし、部屋に入って二人を止めた。
「シャーロット…」
「わたくしがお話しいたしますわ。二人にして下さる?」
しぶしぶ両親は退出し、ドアは半分開けられ、メイドが廊下に控える。
「エドガー様、今日はどのような御用で?」
「この前の茶会で君を怒らせたみたいだったからお詫びにと…」
今頃? もう1週間たっているでしょう。
「怒っておりません」
「怒っていただろう? すぐに謝りに来れなくてごめん。ドリトス侯爵様から仕事を言いつけられて……」
「呆れただけですわ。つまらなかったし」
「……」
「仮に私が怒っていたとして、何に怒っていたと思われたの?」
「それは……」
「何に怒っていたかも分からないのに、謝りにきたなんてただのパフォーマンスで、無意味だと思われません?」
「……何に怒っていたかは…さっき分かった。公爵夫妻に非難されて……私はそんなに公爵夫人の話しばかりしていた?」
「……」
「はああああ……そうか…ごめん自覚がなかった」
「…わたくしたち婚約解消した方が良いと思いますの」
「え!?」
「母は父の妻なので無理ですから、母に似た女性と婚約される方がよろしいかと。残念ながら娘のわたくしは母とは似ても似つきませんし」
「違う! 違うんだ! 私は公爵夫人の事は何とも思ってない!」
今さら取り繕ってどうする気かしら。
「婚約して初めてのお茶会で、公爵夫人を褒めたら君が喜んだんだ」
「……」
「12才の君に18才の僕はどんな話しをしたらいいか分からなくて……公爵夫人は有名な方だから『美しくて才能あふれる素晴らしい方だね』って会話の取っ掛かりのつもりで褒めたら、君は『大好きなお母さまを褒めて下さって嬉しい』って、すごく喜んだんだ」
「君は僕をどう思っているか知らないけれど、僕は女性にあまり気の利いた会話ができない朴念仁なんだ。同い年でも上手く喋れないのに、6才も下の女の子と何を喋ったらいいか分からなくて…だから公爵夫人の話しをして君の気を引こうと……でも今やっと分かった。君にものすごく失礼な事をしていたって。いくら母親でも婚約者の前で他の女性を褒めるなんて…はぁああ僕は本当にバカだ」
「12才だった君とは目を合わせられたけど、君はどんどん綺麗になっていくし、最近は恥ずかしくて直視できなくて……だから公爵夫人を見ていたんだ。君は公爵夫人とよく似ていたから」
「え?」
「髪色や顔かたちは違うけど……その…変な意味に取らないで欲しいんだけど……身体つきがそっくりなんだ。髪色が一緒なら後ろ姿なんてそっくりだ。だから公爵夫人を見て、君が大人になったらあんな感じなんだろうなと想像していつも見ていた」
「……」
「変態じゃないから! ああああ恥ずかしい! 君の前ではかっこいい大人の振りをしたかったのに」
「ふふっふふふふ」
「笑うなよ!」
「父からエドガー様はとりあえずの婚約者だと聞きました。父に頼まれて断り切れなかったのでは?」
「え? 嘘でしょ! 僕は正式な婚約だって聞いて喜んで答えたのに……とりあえず?? 本当に?」
「え?今日はお茶会の日じゃないわよね? 何かしら……いいわ。応接間にお通しして」
ドレスを着替え直し髪を結って、応接間に向かった。
するとドアから激しい言い争いの声が漏れてきた。
「メイドから聞いたわ。貴方はシャーロットにずいぶん素っ気なかったそうね! この前のお茶会でも愛想をつかして退席したシャーロットを追いかけもせずただ椅子に座っていたんですって?」
「あ…あの…」
「今日は何をしにいらしたの? 今頃お詫びにでも来たわけ?」
「しかも君は目の前に娘がいるのに、妻の話しばかりしていたそうじゃないか? 君は妻に懸想しているのか? 私に喧嘩を売るつもりならいつでも受けて立つぞ」
あ~あ……
あのお茶会で側についてたのは、エリーだったわ。会話の内容を両親にチクったわね。
「ち…違うんです! そんなつもりは全くなくて…」
「お父さま、お母さまもう結構です」
深呼吸をし、部屋に入って二人を止めた。
「シャーロット…」
「わたくしがお話しいたしますわ。二人にして下さる?」
しぶしぶ両親は退出し、ドアは半分開けられ、メイドが廊下に控える。
「エドガー様、今日はどのような御用で?」
「この前の茶会で君を怒らせたみたいだったからお詫びにと…」
今頃? もう1週間たっているでしょう。
「怒っておりません」
「怒っていただろう? すぐに謝りに来れなくてごめん。ドリトス侯爵様から仕事を言いつけられて……」
「呆れただけですわ。つまらなかったし」
「……」
「仮に私が怒っていたとして、何に怒っていたと思われたの?」
「それは……」
「何に怒っていたかも分からないのに、謝りにきたなんてただのパフォーマンスで、無意味だと思われません?」
「……何に怒っていたかは…さっき分かった。公爵夫妻に非難されて……私はそんなに公爵夫人の話しばかりしていた?」
「……」
「はああああ……そうか…ごめん自覚がなかった」
「…わたくしたち婚約解消した方が良いと思いますの」
「え!?」
「母は父の妻なので無理ですから、母に似た女性と婚約される方がよろしいかと。残念ながら娘のわたくしは母とは似ても似つきませんし」
「違う! 違うんだ! 私は公爵夫人の事は何とも思ってない!」
今さら取り繕ってどうする気かしら。
「婚約して初めてのお茶会で、公爵夫人を褒めたら君が喜んだんだ」
「……」
「12才の君に18才の僕はどんな話しをしたらいいか分からなくて……公爵夫人は有名な方だから『美しくて才能あふれる素晴らしい方だね』って会話の取っ掛かりのつもりで褒めたら、君は『大好きなお母さまを褒めて下さって嬉しい』って、すごく喜んだんだ」
「君は僕をどう思っているか知らないけれど、僕は女性にあまり気の利いた会話ができない朴念仁なんだ。同い年でも上手く喋れないのに、6才も下の女の子と何を喋ったらいいか分からなくて…だから公爵夫人の話しをして君の気を引こうと……でも今やっと分かった。君にものすごく失礼な事をしていたって。いくら母親でも婚約者の前で他の女性を褒めるなんて…はぁああ僕は本当にバカだ」
「12才だった君とは目を合わせられたけど、君はどんどん綺麗になっていくし、最近は恥ずかしくて直視できなくて……だから公爵夫人を見ていたんだ。君は公爵夫人とよく似ていたから」
「え?」
「髪色や顔かたちは違うけど……その…変な意味に取らないで欲しいんだけど……身体つきがそっくりなんだ。髪色が一緒なら後ろ姿なんてそっくりだ。だから公爵夫人を見て、君が大人になったらあんな感じなんだろうなと想像していつも見ていた」
「……」
「変態じゃないから! ああああ恥ずかしい! 君の前ではかっこいい大人の振りをしたかったのに」
「ふふっふふふふ」
「笑うなよ!」
「父からエドガー様はとりあえずの婚約者だと聞きました。父に頼まれて断り切れなかったのでは?」
「え? 嘘でしょ! 僕は正式な婚約だって聞いて喜んで答えたのに……とりあえず?? 本当に?」