【シナリオ版】恋した先輩には病みがある!?
♡第1話♡
○校舎裏・桜の木の近く

耳の位置で結んだツインテール。
いつもの何倍も気を付けて調節したシースルーバンク。
前日にパックを張り念入りにスキンケアした肌。
先生にばれない程度の施したナチュラルメイク。
一番足がきれいに見えるように折ったスカート。
↑恋桃の容姿。一コマずつ描写する。

そんな万全な体制で臨んだ人生初の告白は───
斗愛「ありがとう。でもごめんね」←申し訳なさそうに笑う
──見事玉砕に終わりました。
↑恋桃と斗愛向き合ってる。


表紙


恋桃「え、何でですか!?」←驚き顔。正面。

恋桃(そ、そんな・・・!おかしい。そんなわけがない。だって今日の恋桃は今までの恋桃史上一番可愛いのに加え、どの角度の恋桃が一番可愛く見えるのか研究したはずなのに・・・!!)←背景に努力する描写

斗愛「何でって・・・普通そういうの告白した相手に聞かないものじゃないの?」
恋桃「普通が何かよく分かりませんが、恋桃は気になります!」
斗愛「そっか・・・」

先輩にあきれたように目をそらされ「えっ」てなる恋桃(今目、逸らされた・・・!?い、いやきっと気のせいです。こんなにかわいい恋桃の告白を断ったのだから気まずかったのでしょう!)

恋桃(とはいえ何で断られたのか皆目見当がつきません。先輩に彼女はいないはずなのに・・・あ、まさか内緒で付き合っている人がいるとか!?)←心の中で悶々とする。

斗愛「俺、今は誰とも付き合うつもりはないんだよね。だから申し訳ないんだけど・・・」
恋桃「なーんだ彼女はいないんですね!安心しました」←満面の笑み
斗愛「話聞いてた!?」
恋桃「はい!つまり今は付き合いたい方がいないということですよね?だったら簡単です。恋桃を好きになってもらえるように頑張ればいいだけなので!」←ふふん、と自信満々に言い切る。

斗愛、困ったようにため息つく。

恋桃(んな!?またため息!いやいやこれは健気な恋桃の可愛さにため息が漏れただけです。きっと)

斗愛「その、根本的なことを聞くけどさ・・・君、誰だっけ?」
恋桃「!? 先輩は恋桃との輝かしい思い出をお忘れですか?!」
斗愛「ごめん本当に心当たりがない」
恋桃「そんなっ・・・!!」←雷に打たれたような衝撃

恋桃、ずいっと詰め寄る。
恋桃「本当に覚えていませんか?去年の夏のオープンスクールの参加したときに迷子になった恋桃を案内したという思い出を・・・!」


〜回想〜 体育倉庫らへん

恋桃「ここ、どこ・・・!?」←構内地図を持ちながら人気のないところに半泣き突っ立っている

恋桃(途中からなんか変だなって思ってましが、本当に迷子になっちゃうなんて・・・!しかも周りに人がいませんし・・・!!)←オロオロ

斗愛「君」
恋桃「へ、はい!?」←後ろから声をかけられ振り向く、瞬間目を奪われる。

恋桃(わぁ、イケメンさん・・・!)

キラキラエフェクトがついた斗愛「もしかしてだけど迷子かな?良かったら送っていこうか?」

あっちだよと指さす斗愛を見て胸を撃ち抜かれる恋桃。

〜〜〜〜


あれ以来先輩のことが頭から離れず友達に相談したところこれが一目ぼれで恋桃の初恋であることに気づいたのです。
その恋の威力は思っていたよりも凄まじく、偏差値が高く家から片道2時間かかるこの高校を選んだまでに至ります。
↑思い出に浸る恋桃

斗愛「え・・・あぁ、あの子!?」
恋桃「思い出していただけました?改めて自己紹介をさせていただきます。1年3組の佐々木恋桃(ささき こもも)と言います!」
斗愛「えっと、佐々木さん」
恋桃「気軽に名前で呼んでください!友達は大体桃ちゃんって呼んでます」
斗愛「桃ちゃん・・・?」←控えめに恋桃の名前を呼ぶ。
恋桃「と、とてもかわいいです先輩・・・!首をかしげる角度すら尊いとは何事ですか!?」
斗愛「ええっ?」

恋桃のあだ名が先輩の美声から発せられたことでより特別感が増します。
これからたくさん呼んでもらえるようにも頑張ろう!

恋桃「ふふ、先輩に名前で呼んでもらえて光栄です。これからよろしくお願いしますね!」
斗愛「こ、これから?」
恋桃「はい!絶対に好きにさせてみせるので覚悟しておいてくださいね、筒井斗愛(つつい とうあ)先輩♡」

恋桃が満面の笑みを浮かべると、斗愛はごくりと喉を鳴らした。


○ダイジェスト(春〜夏になる直前まで)
あれからというもの恋桃の弾丸アピールが始まりました。

例えば朝登校中に会えば挨拶とともに告白。
恋桃「おはようございます斗愛先輩!大好きです!」
斗愛「おはよう桃ちゃん。今日も元気だね」

はたまた廊下で会えば声をかけて告白。
恋桃「先輩次の授業なんですか?あと今日も好きです」
斗愛「次は化学だよ。危険だから廊下は走らないようにね」

休日は電話をかけて告白。
恋桃「先輩今なにされてますかっ?会えない日でも先輩のこと想ってますからね!大好きです!」
斗愛「知ってるよ。今はちょうど部屋の片付け終えたところ」


〇ダイジェスト終わり、ここから普通の流れに戻る、ナレーションは続き。恋桃も斗愛も半袖とベスト姿になってる。

放課後靴箱でばったり会ったときに告白(正確には恋桃が待ち伏せしていただけですが内緒です)。
恋桃「斗愛先輩偶然ですね!やっぱり運命なんじゃないですか?」
斗愛「こう何度も偶然が重なることがあるのかな?とても人工的な気がするんだけど」
恋桃「運命の力が強すぎてそう感じるんだと思います!」

えへへ、と笑う恋桃の後ろで「うわ、またあの子?」「毎日必死だよね〜」などヒソヒソする女子たちに斗愛が気づく。少し複雑そうな顔をする。スっと女子たちから恋桃隠して「帰ろう」と促す。恋桃固まる。

斗愛「どうしたの?」
恋桃「せ、せせ、せ・・・」
斗愛「?」
恋桃「先輩から初めて『帰ろう』って言われました!これって一歩前進ですか!?」

全く周りを気にしてない恋桃に拍子抜けしたあと「それ本人に訊くんだ」と斗愛とにこやかに返した。それでも斗愛は警戒するように後ろを一度振り返った。


〇次の日・食堂

恋桃「あ、斗愛先輩!よかったらお昼一緒に・・・」←少し離れたところから斗愛の背中に向かって声をかける

人混みの中なので斗愛が気づかない。もっと近くで言おうと恋桃が距離を縮めようとしたが、誰かの足が引っかかってコケる。
びたん、という音が食堂に響いてシーンとなる。
その音で斗愛が気づき振り返る。
周りの女子が「ねぇ見てあれ」「ダサっ」「調子に乗るからじゃん?」とヒソヒソする中俯く恋桃を見て、恋桃がショックを受けているに違いないと確信する。
だが本当は斗愛の前でコケたのが恥ずかしすぎて顔があげれないだけ。

恋桃(かっ・・・かっこ悪いし、かわいくもない!先輩にはこんな姿見られたくなかったのに・・・!!どうしましょう。このまま退散するしか――)
斗愛「桃ちゃん」
恋桃「っえ」
斗愛「大丈夫?立てる?」←困り眉で手を差し伸べる
恋桃「は、はいぃぃ!」←顔に気を取られ手に気づかず急いで立つ

恋桃(ひゃあああ先輩に心配されちゃいました!コケたことは残念ですが、先輩の心配する姿見れたのは嬉しすぎます!!)

斗愛「足、すり抜いてる。保健室行こう」


〇保健室

斗愛「はい、できたよ」
恋桃「ありがとうございます・・・」←照れながら

恋桃(先輩に手当てされちゃいました・・・!今日は足洗えないかもです!!)←いっぱいいっぱいになりながら

斗愛はさっきの女子たちの様子を思い出す。

斗愛「ねぇ桃ちゃん」
恋桃「はい」
斗愛「俺のこと、諦める気はないの?」

ふたりが見つめ合う描写。

恋桃「はい。もちろん」←至極当たり前のように
斗愛「何ヶ月も告白スルーしてるのに?」
恋桃「それでも無視はしないじゃないですか」

斗愛、意表をつかれたような顔をする。

恋桃「それに本気で嫌がってたらいくら恋桃でも気づきます。でもそうじゃないですよね?」
斗愛「まぁ、そうだね」

斗愛が否定しなかったことで恋桃の顔がパァっと明るくなる。

恋桃「でしたら諦めませんよ。恋桃はしつこいので!」

眩しいものでも見るような目で恋桃を見る斗愛。そんな顔を覗き込んで言う。

恋桃「ということで先輩、恋桃とデートに行きませんか?」
斗愛「えっ・・・?」
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