義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】
 私と彰人さんが新居に住み始めてしばらくした頃──律が一人で遊びに来た。
 彰人さんは仕事でおらず、私と律で買い物に出かけようとしたら、玄関の鍵が見つからない。
 散々探しても出てこなくて、このままでは出かけられないと、私は引き出しにしまってあったスペアキーを持ち出してきた。その時──

「あ、あったよ、姉さん」
「え? どこにあったの?」
「玄関の棚の下に落ちてたよ」
「落としたのかしら……」

 鍵が見つかったので、私はスペアキーを引き出しに戻した……はずだった。

 ──あの時。
 律は隠し場所を知り、私が目を離したほんの数秒の間に、スペアキーを拝借していたのだ。
 そこから合鍵を作り、私たちが留守の間にここへ来て、何事もなかったかのようにスペアキーを戻す。
 一連の流れを聞いて、背筋が凍るようだった。

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