幼なじみの、隠しごと。

第一話 変わらない日常

カシャ、とカメラのシャッター音が鳴り響く。

その音に合わせてポーズをとり、カメラに笑顔を向ける。


「オッケーです、お疲れ様でした!」

「お疲れ様でした〜」


スタッフさんに呼びかけられて、ポーズを崩す。

さらりと桃色の混じった茶髪が揺れて、顔にかかった。

私は輝井(てるい)唯月(ゆづき)、それなりに人気なモデルをやらせてもらっている。


「お疲れ、唯月」

「ありがと、(かな)


私に水を渡してくれたこの人は、碇代(いかしろ)叶夢(かなむ)

いつも一緒にいる、優しくてちょっと過保護な幼馴染だ。

相変わらずサラサラな黒髪と切れ長の紺色の瞳が綺麗で、叶もモデルをやればいいのにと思う。

ごくごくと水を飲んで、叶に返す。


「今日も疲れたぁ〜! 早く帰ろ?」

「うん、そうだね。でも、その前に着替えたら?」

「あっ、そうだった」
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