運命の契約書
第18話 決断の時
○神崎グループビル 38階 専務室 朝
蓮、最後の準備をしている。机の上には辞表が置かれている。
モノローグ(蓮):「これで良い。美優さんのためなら、何でもできる」
田中秘書がノックして入る。
田中:「専務、重役会議の時間です」
蓮:「はい」
田中、机上の辞表に気づく。
田中:「専務…本当にそれでよろしいのですか?」
蓮:「田中さん、長い間お世話になりました」
田中:「専務…」
涙ぐむ田中秘書。
蓮:「私の後任の方もよろしくお願いします」
田中:「はい…」
蓮、辞表を手に立ち上がる。
○神崎グループビル 15階 国際事業部 同時刻
美優、集中できずにいる。時計を何度も見る。
田村:「美優ちゃん、大丈夫?」
美優:「今頃、重役会議が…」
佐藤:「きっと大丈夫だよ」
美優:「でも、もし蓮さんが会社を辞めることになったら…」
田村:「それでも横井さんは後悔しない?」
美優:「後悔はしない。でも、蓮さんに申し訳なくて」
佐藤:「専務だって、横井のことを愛してるから戦ってるんだよ」
美優、友人たちの言葉に少し安心する。
○神崎グループビル 重役会議室
重役たちが蓮を待っている。
山田会長:「一週間考えて、結論は出たか?」
蓮:「はい」
重役A:「それで?」
蓮、辞表を取り出す。
蓮:「私の辞表です」
重役たち、ざわめく。
山田会長:「本気か?」
蓮:「本気です」
重役B:「会社を捨てて女を取るというのか?」
蓮:「彼女と一緒にいることが、私の人生にとって最も大切なことです」
重役C:「後悔することになるぞ」
蓮:「後悔はしません」
山田会長:「待て、蓮君」
山田会長:「辞表は受け取れない」
蓮:「え?」
重役A:「どういうことですか、会長?」
山田会長:「実は、この件について株主の反応を調べさせた」
蓮:「株主の反応?」
山田会長:「意外なことに、好意的な反応が多かった」
重役たち、困惑する。
重役B:「好意的?」
山田会長:「『愛を貫く専務』『真面目な交際なら問題ない』という声が大半だった」
蓮:「そんな…」
山田会長:「特に若い世代の株主からは強い支持を得ている」
重役A:「しかし、会社の品格を考えると…」
山田会長:「品格とは何だ? 真摯な愛情を品格に反するとでも言うのか?」
山田会長:「正直に言おう。私も最初は反対だった」
蓮:「…」
山田会長:「しかし、蓮君の一途な想いを見ていて考えが変わった」
重役B:「会長…」
山田会長:「私にも娘がいる。もし娘がこんな風に愛されたなら、嬉しく思うだろう」
蓮:「山田会長…」
山田会長:「条件がある」
蓮:「はい」
山田会長:「正式に結婚を前提とした交際であることを明言してもらいたい」
蓮:「もちろんです」
山田会長:「それから、会社の業務に支障をきたさないこと」
蓮:「承知いたします」
山田会長:「辞表は預からせてもらう。撤回するなら今だ」
蓮、迷わず答える。
蓮:「撤回いたします」
○神崎グループビル 15階 国際事業部
美優が心配そうに仕事をしていると、内線電話が鳴る。
美優:「はい、横井です」
蓮(電話越し):「美優さん、38階まで来ていただけますか?」
美優:「蓮さん…どうでした?」
蓮:「直接お話しします」
美優:「はい、すぐに行きます」
美優、田村と佐藤を見る。
田村:「行っておいで」
佐藤:「きっと良い知らせだよ」
○神崎グループビル 38階 専務室
美優が部屋に入ると、蓮が笑顔で迎える。
蓮:「美優さん」
美優:「お疲れさまです。それで…」
蓮:「会社を辞めなくて済みました」
美優:「え? 本当ですか?」
蓮:「本当です」
美優、信じられない様子。
美優:「でも、どうして?」
蓮、詳しく説明する。
美優:「株主の方々が…」
蓮:「はい。私たちの愛を理解してくださった方が多かったんです」
美優、涙ぐむ。
美優:「良かった…本当に良かった」
蓮、美優を抱きしめる。
蓮:「ありがとう、美優さん。あなたが一緒に戦ってくれたから」
蓮:「美優さん、一つ条件があります」
美優:「条件?」
蓮:「結婚を前提とした交際であることを公にしなければなりません」
美優、驚く。
美優:「結婚…」
蓮:「まだ早いでしょうか?」
美優:「いえ…でも私、まだ学生で」
蓮:「もちろん、大学を卒業してからで構いません」
美優:「蓮さん…」
蓮:「美優さん、私と結婚してください」
美優、涙を流しながら。
美優:「はい。喜んで」
蓮、美優にキスをする。
○神崎グループビル 15階 国際事業部 夕方
美優が戻ってくると、部署全体が静まり返る。
田村:「美優ちゃん、どうだった?」
美優:「蓮さん、会社を辞めなくて済みました」
佐藤:「本当? 良かった!」
田村:「それで? 他に何か?」
美優、照れながら。
美優:「結婚を前提にお付き合いすることになりました」
田村:「きゃー! おめでとう!」
佐藤:「すげー! 横井の結婚が決まった!」
周りの先輩社員たちも、驚きながらも祝福の言葉をかけ始める。
先輩社員A:「まあ、結婚前提なら話は違うわね」
先輩社員B:「専務も本気だったということね」
○高級マンション 麻里子の部屋 夜
麻里子、テレビのニュースを見ている。
ニュースキャスター:「神崎グループは本日、専務の交際について正式にコメントを発表しました」
ニュースキャスター:「結婚を前提とした真摯な交際であり、会社としても支援していくとのことです」
麻里子、ワイングラスを握りしめる。
宮下麻里子:「そんな…」
ニュースキャスター:「株主からも好意的な反応が寄せられており…」
麻里子、テレビを消す。
宮下麻里子:「まさか、こんな結果になるなんて」
電話が鳴る。
宮下麻里子:「もしもし」
相手(電話越し):「麻里子様、計画は失敗に終わったようですね」
宮下麻里子:「まだよ。まだ終わっていないわ」
相手:「しかし、もう手の打ちようが…」
宮下麻里子:「考えがある」
○丸の内総合病院 恵子の病室 夜
美優、健人と一緒に母親に報告している。
美優:「お母さん、蓮さんと結婚することになりました」
恵子:「本当に? 良かったわね」
健人:「すげー、姉ちゃん結婚するんだ」
恵子:「蓮さんは良い方だもの。安心したわ」
美優:「まだ私、大学生だから、卒業してからになりますが」
恵子:「それでいいのよ。ちゃんと勉強を終えてから」
健人:「俺も蓮さんのこと、兄さんって呼んでいい?」
美優:「まだ早いでしょ」
笑い合う家族。
恵子:「美優、幸せになりなさい」
美優:「はい、お母さん」
○丸の内大学 学生ラウンジ 翌日
竹内由香:「結婚? 本当に?」
美優:「うん。大学卒業したらだけど」
竹内由香:「すごいじゃない! おめでとう!」
美優:「ありがとう、由香」
竹内由香:「でも、大丈夫? まだ色々大変でしょ?」
美優:「確かに、まだ完全に受け入れられたわけじゃないけど」
竹内由香:「でも一歩前進よ」
美優:「そうね。蓮さんと一緒なら、きっと大丈夫」
竹内由香:「私も応援してる」
美優:「ありがとう」
○神崎グループビル 38階 テラス 夕方
美優と蓮が並んで東京の夕景を見ている。
蓮:「これからも色々あると思います」
美優:「はい」
蓮:「でも、二人なら乗り越えられますね」
美優:「はい。絶対に」
蓮:「美優さん、愛しています」
美優:「私も愛しています」
夕日の中でキスを交わす二人。
蓮:「これからは堂々と愛情を示せますね」
美優:「でも、会社では節度を保ちましょう」
蓮:「もちろんです」
笑い合う二人。
○神崎グループビル 38階 秘書室
田中秘書がお祝いの花を準備している。
田中:「本当に良かった」
美優が通りかかる。
美優:「田中さん、いつもありがとうございます」
田中:「おめでとうございます、横井さん」
美優:「これからも、よろしくお願いします」
田中:「こちらこそ。専務を支えてさしあげてください」
美優:「はい」
田中秘書、優しく微笑む。
田中:「素敵な花嫁さんになりそうですね」
美優:「まだまだです」
田中:「きっと美しい花嫁さんになりますよ」
○美優のアパート 夜
美優、日記を書いている。
美優(ナレーション):「今日、私たちの関係が公に認められた。長い間の不安と戦いがようやく終わった」
窓の外の夜景を見る。
美優(ナレーション):「まだ課題はたくさんある。でも、蓮さんと一緒なら、どんな困難も乗り越えられる」
○神崎グループビル 蓮の専務室 同時刻
蓮、机で仕事をしながら。
モノローグ(蓮):「美優さんと正式に結婚の約束ができた。これからは彼女を守り、共に成長していこう」
美優からのメッセージが届く。
メッセージ:「お疲れさまです。今日は本当にありがとうございました。愛しています 」
蓮、微笑みながら返信する。
返信:「こちらこそ。愛しています」
ナレーション(美優):「私たちの愛は多くの試練を乗り越えて、ついに社会に認められた。これからが本当の始まり。蓮さんと共に歩む未来が、きっと素晴らしいものになることを信じて──」
蓮、最後の準備をしている。机の上には辞表が置かれている。
モノローグ(蓮):「これで良い。美優さんのためなら、何でもできる」
田中秘書がノックして入る。
田中:「専務、重役会議の時間です」
蓮:「はい」
田中、机上の辞表に気づく。
田中:「専務…本当にそれでよろしいのですか?」
蓮:「田中さん、長い間お世話になりました」
田中:「専務…」
涙ぐむ田中秘書。
蓮:「私の後任の方もよろしくお願いします」
田中:「はい…」
蓮、辞表を手に立ち上がる。
○神崎グループビル 15階 国際事業部 同時刻
美優、集中できずにいる。時計を何度も見る。
田村:「美優ちゃん、大丈夫?」
美優:「今頃、重役会議が…」
佐藤:「きっと大丈夫だよ」
美優:「でも、もし蓮さんが会社を辞めることになったら…」
田村:「それでも横井さんは後悔しない?」
美優:「後悔はしない。でも、蓮さんに申し訳なくて」
佐藤:「専務だって、横井のことを愛してるから戦ってるんだよ」
美優、友人たちの言葉に少し安心する。
○神崎グループビル 重役会議室
重役たちが蓮を待っている。
山田会長:「一週間考えて、結論は出たか?」
蓮:「はい」
重役A:「それで?」
蓮、辞表を取り出す。
蓮:「私の辞表です」
重役たち、ざわめく。
山田会長:「本気か?」
蓮:「本気です」
重役B:「会社を捨てて女を取るというのか?」
蓮:「彼女と一緒にいることが、私の人生にとって最も大切なことです」
重役C:「後悔することになるぞ」
蓮:「後悔はしません」
山田会長:「待て、蓮君」
山田会長:「辞表は受け取れない」
蓮:「え?」
重役A:「どういうことですか、会長?」
山田会長:「実は、この件について株主の反応を調べさせた」
蓮:「株主の反応?」
山田会長:「意外なことに、好意的な反応が多かった」
重役たち、困惑する。
重役B:「好意的?」
山田会長:「『愛を貫く専務』『真面目な交際なら問題ない』という声が大半だった」
蓮:「そんな…」
山田会長:「特に若い世代の株主からは強い支持を得ている」
重役A:「しかし、会社の品格を考えると…」
山田会長:「品格とは何だ? 真摯な愛情を品格に反するとでも言うのか?」
山田会長:「正直に言おう。私も最初は反対だった」
蓮:「…」
山田会長:「しかし、蓮君の一途な想いを見ていて考えが変わった」
重役B:「会長…」
山田会長:「私にも娘がいる。もし娘がこんな風に愛されたなら、嬉しく思うだろう」
蓮:「山田会長…」
山田会長:「条件がある」
蓮:「はい」
山田会長:「正式に結婚を前提とした交際であることを明言してもらいたい」
蓮:「もちろんです」
山田会長:「それから、会社の業務に支障をきたさないこと」
蓮:「承知いたします」
山田会長:「辞表は預からせてもらう。撤回するなら今だ」
蓮、迷わず答える。
蓮:「撤回いたします」
○神崎グループビル 15階 国際事業部
美優が心配そうに仕事をしていると、内線電話が鳴る。
美優:「はい、横井です」
蓮(電話越し):「美優さん、38階まで来ていただけますか?」
美優:「蓮さん…どうでした?」
蓮:「直接お話しします」
美優:「はい、すぐに行きます」
美優、田村と佐藤を見る。
田村:「行っておいで」
佐藤:「きっと良い知らせだよ」
○神崎グループビル 38階 専務室
美優が部屋に入ると、蓮が笑顔で迎える。
蓮:「美優さん」
美優:「お疲れさまです。それで…」
蓮:「会社を辞めなくて済みました」
美優:「え? 本当ですか?」
蓮:「本当です」
美優、信じられない様子。
美優:「でも、どうして?」
蓮、詳しく説明する。
美優:「株主の方々が…」
蓮:「はい。私たちの愛を理解してくださった方が多かったんです」
美優、涙ぐむ。
美優:「良かった…本当に良かった」
蓮、美優を抱きしめる。
蓮:「ありがとう、美優さん。あなたが一緒に戦ってくれたから」
蓮:「美優さん、一つ条件があります」
美優:「条件?」
蓮:「結婚を前提とした交際であることを公にしなければなりません」
美優、驚く。
美優:「結婚…」
蓮:「まだ早いでしょうか?」
美優:「いえ…でも私、まだ学生で」
蓮:「もちろん、大学を卒業してからで構いません」
美優:「蓮さん…」
蓮:「美優さん、私と結婚してください」
美優、涙を流しながら。
美優:「はい。喜んで」
蓮、美優にキスをする。
○神崎グループビル 15階 国際事業部 夕方
美優が戻ってくると、部署全体が静まり返る。
田村:「美優ちゃん、どうだった?」
美優:「蓮さん、会社を辞めなくて済みました」
佐藤:「本当? 良かった!」
田村:「それで? 他に何か?」
美優、照れながら。
美優:「結婚を前提にお付き合いすることになりました」
田村:「きゃー! おめでとう!」
佐藤:「すげー! 横井の結婚が決まった!」
周りの先輩社員たちも、驚きながらも祝福の言葉をかけ始める。
先輩社員A:「まあ、結婚前提なら話は違うわね」
先輩社員B:「専務も本気だったということね」
○高級マンション 麻里子の部屋 夜
麻里子、テレビのニュースを見ている。
ニュースキャスター:「神崎グループは本日、専務の交際について正式にコメントを発表しました」
ニュースキャスター:「結婚を前提とした真摯な交際であり、会社としても支援していくとのことです」
麻里子、ワイングラスを握りしめる。
宮下麻里子:「そんな…」
ニュースキャスター:「株主からも好意的な反応が寄せられており…」
麻里子、テレビを消す。
宮下麻里子:「まさか、こんな結果になるなんて」
電話が鳴る。
宮下麻里子:「もしもし」
相手(電話越し):「麻里子様、計画は失敗に終わったようですね」
宮下麻里子:「まだよ。まだ終わっていないわ」
相手:「しかし、もう手の打ちようが…」
宮下麻里子:「考えがある」
○丸の内総合病院 恵子の病室 夜
美優、健人と一緒に母親に報告している。
美優:「お母さん、蓮さんと結婚することになりました」
恵子:「本当に? 良かったわね」
健人:「すげー、姉ちゃん結婚するんだ」
恵子:「蓮さんは良い方だもの。安心したわ」
美優:「まだ私、大学生だから、卒業してからになりますが」
恵子:「それでいいのよ。ちゃんと勉強を終えてから」
健人:「俺も蓮さんのこと、兄さんって呼んでいい?」
美優:「まだ早いでしょ」
笑い合う家族。
恵子:「美優、幸せになりなさい」
美優:「はい、お母さん」
○丸の内大学 学生ラウンジ 翌日
竹内由香:「結婚? 本当に?」
美優:「うん。大学卒業したらだけど」
竹内由香:「すごいじゃない! おめでとう!」
美優:「ありがとう、由香」
竹内由香:「でも、大丈夫? まだ色々大変でしょ?」
美優:「確かに、まだ完全に受け入れられたわけじゃないけど」
竹内由香:「でも一歩前進よ」
美優:「そうね。蓮さんと一緒なら、きっと大丈夫」
竹内由香:「私も応援してる」
美優:「ありがとう」
○神崎グループビル 38階 テラス 夕方
美優と蓮が並んで東京の夕景を見ている。
蓮:「これからも色々あると思います」
美優:「はい」
蓮:「でも、二人なら乗り越えられますね」
美優:「はい。絶対に」
蓮:「美優さん、愛しています」
美優:「私も愛しています」
夕日の中でキスを交わす二人。
蓮:「これからは堂々と愛情を示せますね」
美優:「でも、会社では節度を保ちましょう」
蓮:「もちろんです」
笑い合う二人。
○神崎グループビル 38階 秘書室
田中秘書がお祝いの花を準備している。
田中:「本当に良かった」
美優が通りかかる。
美優:「田中さん、いつもありがとうございます」
田中:「おめでとうございます、横井さん」
美優:「これからも、よろしくお願いします」
田中:「こちらこそ。専務を支えてさしあげてください」
美優:「はい」
田中秘書、優しく微笑む。
田中:「素敵な花嫁さんになりそうですね」
美優:「まだまだです」
田中:「きっと美しい花嫁さんになりますよ」
○美優のアパート 夜
美優、日記を書いている。
美優(ナレーション):「今日、私たちの関係が公に認められた。長い間の不安と戦いがようやく終わった」
窓の外の夜景を見る。
美優(ナレーション):「まだ課題はたくさんある。でも、蓮さんと一緒なら、どんな困難も乗り越えられる」
○神崎グループビル 蓮の専務室 同時刻
蓮、机で仕事をしながら。
モノローグ(蓮):「美優さんと正式に結婚の約束ができた。これからは彼女を守り、共に成長していこう」
美優からのメッセージが届く。
メッセージ:「お疲れさまです。今日は本当にありがとうございました。愛しています 」
蓮、微笑みながら返信する。
返信:「こちらこそ。愛しています」
ナレーション(美優):「私たちの愛は多くの試練を乗り越えて、ついに社会に認められた。これからが本当の始まり。蓮さんと共に歩む未来が、きっと素晴らしいものになることを信じて──」