再会した初恋の幼馴染との距離が近すぎて困ってます! ~離れて初めて気付く恋~
まだ行き先を聞いていなかったから、どこに向かっているのか全く分からない。けれど、辿り着いたのかどこかの駐車場に入った。コンビニ?
「おぉ、駐車上手」
「……お前、免許持ってんの?」
「持ってますけど? 車はないけど」
「あっそ。じゃあ今度真香のドライブテクニックをご披露いただこうかな」
「やめたほうがいいよ。生きた心地しないから」
「お前が言ってどうすんだよ。免許証はただの身分証か」
その通りです。私としても、どうして免許が取れたのか不思議でならない。だから運転はやめておこうと心に決めている。
「何でコンビニ?」
「ほれ、かご持て」
「……何買うのよ」
朝陽に付いていってコンビニに来店したら、かごを渡された。しかも、朝陽の手にもかごがもう一つ。一体何を買い込む気だこいつは。
そのまま朝陽に付いていくと、とあるコーナーに。それは……
「コンビニスイーツ大人買い」
「……朝から何やってんの」
「え、いいじゃん別に。俺が買ってやるって」
「いや、そうじゃなくて」
「あぁあと飲み物も買ってくか」
「……アンタ、まさか……」
ご名答、とでも言いたげな視線を向けてきた。まさかの、家でゲームか。
……朝陽んちで、ゲーム? え、これから朝陽んちに行くの?
マジかよ。
「ちょっと待ってそれ食べきれるの!?」
「いけるいける」
「……お前責任取れよ」
「俺腹減ってるから問題なし」
昨日まで栄養が足りないだのなんだのって煩くしてたやつはどこのどいつだ。コンビニスイーツで済ませようとしてない? 人の事言えないでしょそれ。
片っ端からどんどんかごに入れていく朝陽に、呆れた目しか向けられなかった。
「真香、かご」
「はいはい」
全種類を一つずつ入れるらしい。本当にそれ、食べられるの? そう思いつつも、とりあえず賞味期限を確認することにした。
まぁ、いけるか。食べきらなかったら朝陽んちの冷蔵庫につっこもう。さて、飲み物は何にしようか。朝陽持ちなら何買ってもいいよね。
「お前、高いの選んだな」
「どうせゲームするんでしょ。なら、ペットボトルよりストローの方がいいじゃん」
「お、さすがっ」
何も言わずにここまで連れてこられたから、その腹いせってところではあったんだけど……ゲームに気が付いたことに食いついたか。
とはいえ、別にゲームやるんなら別にいいんだけど……朝陽の家かぁ。
幼馴染の家。そう、幼馴染の家。なら、何もおかしなことはない。
……でも、さ。この大量に入ったかごを持ってる朝陽に近づきたくない気がする。だって、恥ずかしいじゃん。ほら、コンビニ店員さんびっくりしてるし。朝陽は楽しそうに鼻歌歌っちゃってるけど。