再会した初恋の幼馴染との距離が近すぎて困ってます! ~離れて初めて気付く恋~
4.覚えてたんだ
「真香ちゃん、今日空いてる?」
「あ、いや……」
「空いてないなら駅まで送ってあげるよ」
「いえ、大丈夫です」
今日もまた、とある先輩に仕事終わりに声をかけられた。いつも絡まれる、別の部署の先輩だ。
もう帰りなんだけど……さすがにね……
この前は駅まで一緒に行ったら家まで送るとまで言われてしまった。その時はうまく丸め込んで、ちょうどいいタイミングで先輩のスマホが鳴ったから逃げられた。
けれど、今日はどうしようか。と、いうところで今日お昼に来ていたメッセージを思い出した。そして、会社の玄関まで早歩きで進み外に出る。
「あれ、私のお迎えなのでここで失礼しますね」
「えっ?」
視界に入った見覚えのある車を指差した。じゃあお疲れ様でした、と置き去りに車の方へ。
……おいお前、まぁたゲームしてんなよ。
「おい朝陽」
スマホを横にしてゲームをしている最中らしい。けど、今の状況じゃ今そこにいる先輩に怪しまれるんだからなんとかしろよ!!
昼休憩の頃。夕飯食べに行こって言ったのどこのどいつだ? 今日は仕事遅くなるよと返したはずなのに、なら迎えに行くから職場教えろって言ってきたんだろ。
しょうがないな、と思いつつ運転席のドアを思いっきり開けた。
「あっ……」
「あーさーひーさーんっ、アンタのために仕事頑張ってきた私はガン無視ですかー?」
「……」
ゲームの最中なのに止められたのがご不満らしいが、コチラはそれどころじゃない。顔を近づけて、視線で先輩がこっちを見ていることを伝えた。あぁ、なるほど。そう理解したらしい。
「まーなかっ、お疲れさん」
「……はいはい」
ようやく理解したか、というところで頭を撫でてきやがった。まぁ、これくらいやればいいだろう。けど……実に腹立たしい。子供じゃないし。