再会した初恋の幼馴染との距離が近すぎて困ってます! ~離れて初めて気付く恋~

「行った?」

「うん、行った」

「どこの会社でも面倒い社員はいるもんだなぁ〜」


 ほら乗れ、と助手席を指さされ、その通りに乗り込んだ。

 朝陽は仕事帰りなのか、今日は居酒屋で再会した時と同じくスーツだ。


「はー肩こった。あの人しつこすぎ」

「持つべきは幼馴染。使い勝手良すぎだな」

「まぁ、この手は何回も使わせてもらったしねぇ〜」


 特に高校でよく使った。色々と面倒くさいこともあったし。

 あぁ、あと映画館のカップル割も利用させてもらったこともあったな。実に使い勝手がいい。高校生のお小遣いはそんなに少なかったわけじゃないけど、安く済むならその分をおやつに回したいし。

 けど……やっぱり、なんとなく心がチクチクする。


「夕飯どこ行くの?」

「着いてからお楽しみ」


 なんか、この前もそれ言われた気がする。朝陽のくせにムカつくなそれ。まぁでも、お腹空いてるし美味しいところならどれでもいいや。

 そして、たどり着いたらしく駐車場に車が停まった。助手席から降りるとライトアップされたお店の入口が視界に入る。


「ラーメン、好きだったよな」

「……マジ?」

「先輩に教えてもらって来た事があるんだけどさ、ここのラーメンマジで美味いんだよ。真香に食ってもらいたくてさ」


 そう笑いながらお店の玄関を開ける朝陽。私は……ちょっとだけ呆気にとられた。まさかラーメン屋だったなんて、と。そもそも私がラーメン好きなの覚えてたんだ。

 とってもいい匂いが漂う、レトロな店内。カウンター席があって、テーブル席がいくつか。数人いるお客さんが、美味しそうに麵を啜っている音が聞こえる。
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