竜王の歌姫
そして、次はカノンの番となった。
すうっと息を吸い込んで、カノンが歌い出す。その瞬間、空気が変わった。
皆が自然と俯いていた顔を上げる。ある者は目を見開き、ある者は息を呑む。
歌いながら、カノンが思い浮かべるのは両親のこと。
カノンのことを、たくさん愛してくれた両親。
大好きだった。何よりも大切だった。ずっと一緒にいると約束したはずだった。
もう一度だけでいいから、2人に会いたい。でもそれはもう叶わない。
それならどうかこの歌が、2人の元まで届きますように―――。
目の端に浮かぶ涙を堪えながら歌う。
「あれ……?」
彼女のうちの1人が、頬を濡らす感触に気づいて小さく声を上げた。
カノンの悲しみに共鳴するかのように、1人、また1人と瞳から涙を溢す者が現れる。
全てを歌い終わると、一瞬の静寂の後、自然と拍手が湧き起こった。
「素晴らしい歌声だった。やはり私の目に狂いはなかったようだ」
「ありがとう、ございます」
そう満足げに声をかけてくる神官長に、カノンは頭を下げる。
「なんで……?
だって私の時は、拍手なんて……」
その光景を、ルーシーは後ろから呆然とした様子で眺めていた。
すうっと息を吸い込んで、カノンが歌い出す。その瞬間、空気が変わった。
皆が自然と俯いていた顔を上げる。ある者は目を見開き、ある者は息を呑む。
歌いながら、カノンが思い浮かべるのは両親のこと。
カノンのことを、たくさん愛してくれた両親。
大好きだった。何よりも大切だった。ずっと一緒にいると約束したはずだった。
もう一度だけでいいから、2人に会いたい。でもそれはもう叶わない。
それならどうかこの歌が、2人の元まで届きますように―――。
目の端に浮かぶ涙を堪えながら歌う。
「あれ……?」
彼女のうちの1人が、頬を濡らす感触に気づいて小さく声を上げた。
カノンの悲しみに共鳴するかのように、1人、また1人と瞳から涙を溢す者が現れる。
全てを歌い終わると、一瞬の静寂の後、自然と拍手が湧き起こった。
「素晴らしい歌声だった。やはり私の目に狂いはなかったようだ」
「ありがとう、ございます」
そう満足げに声をかけてくる神官長に、カノンは頭を下げる。
「なんで……?
だって私の時は、拍手なんて……」
その光景を、ルーシーは後ろから呆然とした様子で眺めていた。