ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
魔法陣鑑定士とは
<ヘンタイ魔術師は、恋愛攻略法に悩む>
A国
もう、秋が深まり、昼間はそれなりに暖かさもあるが、時折、地面から冷気を感じる。
男が一人、3階建ての小さなギルドの建物の前に立ち、
傷ややけど跡がある両手をすり合わせてから、扉を開けた。
陽に焼けた長めの黒髪を、細紐で後ろに縛り、裾が破けてようかん色に変色した黒のマント、汚い麻袋を背負っている。
長身痩躯で中年というにはまだ早い・・・
しかし、理知的な額と通った鼻筋は意志の強さを、青と緑のマーブルの瞳は尊大さを感じさせる。
ギルドの一階は飯屋になっていて、
夕方の客のまばらなこの時間でも、いぶした煙、革の臭い、酒と焼肉から染み出た獣脂、
客の汗臭さが入り混じったまま漂っていた。
男はその臭さに、思わず顔をしかめた。
「よぉ、リアララ。久しぶりだな。仕事が終わったのか?」
カウンター越しに、樽型体形の赤黒く酒焼けをした店主が、声をかけてきた。
「ああ、今回はB国まで遠出して、魔法陣修復をしたからな。
そこで古いけれど、面白い魔法陣を、いくつか見つけることができたのは収穫だ」
A国
もう、秋が深まり、昼間はそれなりに暖かさもあるが、時折、地面から冷気を感じる。
男が一人、3階建ての小さなギルドの建物の前に立ち、
傷ややけど跡がある両手をすり合わせてから、扉を開けた。
陽に焼けた長めの黒髪を、細紐で後ろに縛り、裾が破けてようかん色に変色した黒のマント、汚い麻袋を背負っている。
長身痩躯で中年というにはまだ早い・・・
しかし、理知的な額と通った鼻筋は意志の強さを、青と緑のマーブルの瞳は尊大さを感じさせる。
ギルドの一階は飯屋になっていて、
夕方の客のまばらなこの時間でも、いぶした煙、革の臭い、酒と焼肉から染み出た獣脂、
客の汗臭さが入り混じったまま漂っていた。
男はその臭さに、思わず顔をしかめた。
「よぉ、リアララ。久しぶりだな。仕事が終わったのか?」
カウンター越しに、樽型体形の赤黒く酒焼けをした店主が、声をかけてきた。
「ああ、今回はB国まで遠出して、魔法陣修復をしたからな。
そこで古いけれど、面白い魔法陣を、いくつか見つけることができたのは収穫だ」
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