ヘンタイ魔術師は恋愛攻略法に悩む
リアララと呼ばれた男が、カウンター席に座ると、
すぐに店主はエールのジョッキを滑らした。

男は、コインをパチンと親指で跳ね飛ばすように置くと、一気飲みをした。

ゴキュ・・ゴキュ・・・プハァーー

「はぁーーー、まったく、生きかえるぜ」

ジョッキをテーブルに置くタイミングで、店主が声をかけた。

「アンタにお客が来ているんだがね。
ザイラス工房の紹介だと言っていたけど。

どうする?2階の客室に待たしているけど」

店主は空になったジョッキにエールを継ぎ足し、リアララの顔色を伺った。

「ザイラス工房か。
あそこで、いつも仕事をもらっているからな。

顔をつぶすのはマズイし、取りあえず、話だけ聞いてみる」

そう言うと、重そうな麻袋を椅子から引きずりおろし、
疲れた足取りで2階に上がっていった。

ザイラス工房は、魔道具専門の修理工房だ。

何代も続く老舗で、王宮に出入りをする職人を多数抱えている。

貴族の魔術師の魔法陣は
複雑に入り組んでいて、修復する場合、難易度が高い。

面倒くさい仕事でなければ、受けてもいいかな・・・

エールのゲップを吐いてリアララは考えていた。
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