幼馴染の恋の行方
「キャーーー!!」

 隣で友花里が黄色い歓声を上げた。校内に他校を招いた練習試合で、勇人がシュートを決めたのだ。

 練習試合にも関わらず、グラウンドの周りには多くの生徒がいる。その多くが、勇人を見に来ているのだと思う。

「未来も来てたんだ。勇人を応援しに?」

 一年生の時に同じクラスだった、昇太(しょうた)が声を掛けてきた。

「そうそう。付き添いでね。——で、昇太は何してるの? 陸上部は休み?」

「サッカー部にグラウンド取られたから、今日は基礎練だけ。適当に切り上げて、サッカー部の試合を見に来たってわけ。——おおっ! やっぱ上手いな、勇人は!」

 周りを見ると、昇太はじめ、他の陸上部員たちも練習試合を観戦していた。

「でさ……」

 昇太が急に小声になった。

「隣の子、小川友花里ちゃんだっけ。未来の幼なじみなんだよな?」

「——ああ、そうだよ」

「小川さんってさ、彼氏いるの……?」

「何? 友花里の事狙ってるの!?」

「いや、俺じゃ無いんだけどさ。陸上部の奴がね」

 そう言った昇太の顔をジッと見る。どうやら、ウソでは無いようだ。

「試合を見に来てるってことで、お察しだと思うけど……友花里もさ、勇人をね……」

「そっかー、マジなやつなんだ。——で、お前は大丈夫なの? それで」

「だ、大丈夫って何が……?」

「ハハ、いや、別に」

 昇太は意味深に笑うと、陸上部員たちの元へと駆けていった。
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