幼馴染の恋の行方
「未来、久しぶり!」

 新学期が始まって5日も経った頃。友花里との帰り道、後ろから声を掛けられた。進藤勇人だ。

「久しぶり、勇人。相変わらず元気そうじゃん」

「あったり前だろ! 俺から元気取ったら優しさしか残らないし。あ、小川さんと仲良いんだ」

 小川とは友花里の名字だ。勇人は友花里に「オッス」と片手をあげて挨拶をした。

「そうそう。僕たち、幼なじみなんだよ。小中も一緒だったし」

「マジか! いいな、そういうの! ——あ! お、置いてかれる。じゃ、またな! 小川さんも!」

 勇人はそう言うと、ランニングの列に戻っていった。サッカー部の基礎練で、校舎の周りをグルグルと回っているようだ。


「なんか……呼び捨てで、呼び合えるの羨ましいな……」

 勇人が視界から消えると、友花里はボソッと呟いた。

「……新しいクラスが始まって、まだ5日じゃん。友花里もこれからだって」

「まあ、一年生の時の未来たちのクラスが特別仲良かったのは知ってるけどさ。——新しいクラス、今の所あんまり盛り上がってないのよね」

 僕がいたクラスは、仲が良いと評判だった。そして、多くの生徒が下の名前で呼び合っていた。

 その時のクラスを盛り上げてくれていたのも勇人だった。
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