クズ御曹司の執着愛
「……っ……くそ……」

床にうずくまりながら、呼吸を整える。
鈍い痛みが全身を駆け巡り、額から冷や汗が滲み出る。

まただ。

二十年前と同じように…俺は、森田伊織に負けた。

女に不自由したことなど、一度もない。
誰でも、いつでも、手を伸ばせば落ちてきた。
遊びで抱いても、勝手に夢を見て、勝手にすがってきた。
それが女というものだと信じて疑わなかった。

なのに、伊織だけは違う。
俺を軽蔑し、拒み、打ち倒す。
あの夜も、そして今も。

……ふざけるな。
俺が、二度も同じ女に拒絶されるなんて、あってたまるか。

うめきながらも奥歯を噛み締める。
這いつくばらされた屈辱は、逆に火をつける。

今度こそ、必ず、手に入れてやる。
どんな手を使ってでも。

森田伊織。
俺にとって唯一の敗北であり、唯一の女。


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