吹奏楽に恋した私の3年間
音の先の答え
コンクール前日。
いつも通り、楽器を運ぶ。
だけど、今年は少し違っていた。
先生が妊娠しているから、大きな打楽器や譜面台の束は、私たちだけで運ばなければならなかった。
ティンパニの脚を畳むのも、バスドラムを台車に乗せるのも、全部自分たちで。
そのとき、ふと気づいた。
——今まで、先生に頼りすぎていたんだな。
困っていたら、すぐに駆けつけてくれる。
重いものも、黙って一緒に持ってくれる。
「先生って、なんでもできるな」って、そんなふうに思っていた。
でも、今年は違う。
先生は、少し申し訳なさそうに言った。
「ごめんね、偉そうに指示だけしかできないけど……」
その言葉に、胸がきゅっとなった。
先生は、何も“偉そう”なんかじゃない。
むしろ、今までどれだけ私たちのために動いてくれていたか、今になってやっとわかった。
本来なら、これも全部、自分たちでやるべきことだった。
それなのに——
でも、今は違う。
先生は、命を育てながら、私たちに音楽を教えてくれている。
楽器を運び終えたあと、私は先生の背中を見つめた。
その中に、もう一つの命がある。
明日、私たちは舞台に立つ。
先生と一緒に。
音で、気持ちで、全部を伝えるために。
いつも通り、楽器を運ぶ。
だけど、今年は少し違っていた。
先生が妊娠しているから、大きな打楽器や譜面台の束は、私たちだけで運ばなければならなかった。
ティンパニの脚を畳むのも、バスドラムを台車に乗せるのも、全部自分たちで。
そのとき、ふと気づいた。
——今まで、先生に頼りすぎていたんだな。
困っていたら、すぐに駆けつけてくれる。
重いものも、黙って一緒に持ってくれる。
「先生って、なんでもできるな」って、そんなふうに思っていた。
でも、今年は違う。
先生は、少し申し訳なさそうに言った。
「ごめんね、偉そうに指示だけしかできないけど……」
その言葉に、胸がきゅっとなった。
先生は、何も“偉そう”なんかじゃない。
むしろ、今までどれだけ私たちのために動いてくれていたか、今になってやっとわかった。
本来なら、これも全部、自分たちでやるべきことだった。
それなのに——
でも、今は違う。
先生は、命を育てながら、私たちに音楽を教えてくれている。
楽器を運び終えたあと、私は先生の背中を見つめた。
その中に、もう一つの命がある。
明日、私たちは舞台に立つ。
先生と一緒に。
音で、気持ちで、全部を伝えるために。