ぶーってよばないで!改訂版
【自宅】
「ただいま〜」
「お帰り!真瑠ちゃん、ちょうどいいところに帰ってきてくれたわ。ママね、パン粉を買い忘れちゃったの。ちょっと隣のスーパーで買ってきてくれない?おやつも選んできていいから!」

【昭和堂】
「いらっしゃいませ〜」
昭和堂は、普通のスーパーではなかなか手に入らない商品も揃う高級スーパー。私は、ここの特製スイーツが大好き!ケーキ屋さんに行く時間がないときでも、ちょっと贅沢な気分を味わいたい時には必ず昭和堂に寄る。
カヌレ、マカロン、プリンにザッハトルテ……どれも美味しそう‼︎
ああ〜どうしよう、どうしよう。ぜんぶ食べたい。

「真瑠璃!」
振り返ると、隆也が笑顔で手を振っていた。
胸がふわっと軽くなって、嬉しくなる。隆也に会えたのは、いつぶりだろう。

「隆也!久しぶり!今、帰り?」
「うん。真瑠璃は、おやつ探してたの?」
「よく分かったね!」
「バスを降りたらちょうど見えたんだよ。真瑠璃がスイーツコーナーを行ったり来たりしてたからさ。」
「うわっ、恥ずかしい!」

「最近、スイーツ日記書いてる?」
「そうだ!」
私はポケットから携帯を取り出した。
隆也に見てもらいたい写真がいっぱいある。まだ日記には書けていない、とっておきの新しいスイーツたち!

「この間ね、周ちゃんと瑛里と東京まで行ってきたの!夏期講習!その時に、あの超有名なあんみつ屋さんであんみつ食べたんだよ。見て、この写真!」
「うわ!美味そうだな!」
「でしょ!私ね、クリームあんみつといちごあんみつ、どっちも食べたかったの。でも周ちゃんが“いちご分けてあげるからクリーム頼んだら?”って言ってくれて、両方食べられたんだ!」
「そうか……」

「それでね、瑛里が“もう二度と講習なんて参加するもんか!”って愚痴ばっかりで。そしたら周ちゃんが『じゃあ、約束のプリクラを楽しみに次も頑張ろうよ!』って励ましてくれて。瑛里も少しやる気がでたの。周ちゃんって、本当に優しいんだよ!」
「そうだな……」

「それで三人で渋谷に移動したんだけど、ゲームセンターがびっくりするほど混んでて。もう新幹線に間に合わないねってことで、プリクラは諦めたんだ。そしたら瑛里が“もう歩けない、何もできない”って大騒ぎで。周ちゃんが私と瑛里の荷物を一人で持ってくれてね!それでね、周ちゃんがね!周ちゃんがね!」
「真瑠璃……」
「ん?」
「京田くんの話じゃなくて、あんみつ屋さんの話が聞きたかったんだ、俺……」
「ご、ごめん……」

一気に空気が気まずくなった。
隆也、怒っているの?どうして?
私、何か気を悪くさせちゃったのかな。

久しぶりに会えた嬉しさで、会えなかった間の出来事をそのまま話してしまった私。
なのに、隆也に否定された気がして、胸がきゅっと苦しくなったーー。
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